福田次官、報道も辞任も否定 セクハラ発言「覚えない」

財務省を出る福田淳一事務次官(中央)=2018年4月16日午後6時20分、東京・霞が関、長島一浩撮影(省略)
 財務省の福田淳一事務次官が女性記者にセクハラ発言を繰り返したと週刊新潮が報じた問題で、財務省は16日、福田氏が事実関係を否定し、辞任しない意向を示したとする調査結果を発表した。政権内では福田氏の更迭による早期の事態収拾を求める声が高まっていただけに、問題の長期化によるダメージ拡大を懸念する声も出ている。
 「女性記者との間でこのようなやりとりをしたことはない」「会食をした覚えもない」
 財務省の調査結果には、福田氏が週刊新潮のセクハラ報道を全面的に否定する言葉が並んだ。福田氏はさらに「週刊誌報道は事実と異なるものであり、名誉毀損(きそん)にあたる」として、新潮社を提訴する準備を進めていることを表明。「反省の上で、緊張感を持って職務に取り組んでまいりたい」と辞任する考えがないことも強調した。
 一方、週刊新潮編集部は16日、朝日新聞の取材に対し、「記事は全て事実に基づいたものです。財務省が本日公表した文書に対する週刊新潮の見解は、19日発売の次号に掲載いたします」と回答した。
 12日発売の同誌は、福田氏が女性記者に飲食店で「胸触っていい?」などとセクハラ発言を繰り返したと報じ、13日には福田氏とされる音声データもネット上に公開した。
 調査はこれを受け、麻生太郎財務相が13日に指示した。矢野康治官房長が福田氏から聞き取る形で行ったという。福田氏は音声データについても「本当に女性記者なのかも全く分からない」と否定。同誌はほかの女性記者にも同様な行為を繰り返したと報じたが、「女性記者に対して相手が不快に感じるようなセクシャル・ハラスメントに該当する発言をしたという認識はない」と答えたという。
 財務省は16日、外部の弁護士に委託し、福田氏の調査を続けると発表。記者クラブの加盟各社に対し、女性記者が調査に協力するよう異例の要請もした。麻生氏はこの日の参院決算委員会で「福田次官からの聴取だけでは事実関係の解明は困難」と指摘した。
 だが、この間の財務省の対応には疑問が残る。調査に動きだしたのは、音声データの公表後で、当初は麻生氏は事実確認すらしない姿勢を示し、福田氏も一切の説明を避けてきた。後手に回る対応は、森友問題で決裁文書の改ざんが報じられたときと重なり合う。

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