ロスジェネは「人手不足の穴埋め」 救済策に透ける打算 (6/17)

ロスジェネは「人手不足の穴埋め」 救済策に透ける打算

編集委員・真鍋弘樹 2019年6月17日17時30分
 
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2000年代、インターネットで求人を検索する若者たち=東京・渋谷のハローワーク
 
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 「ロストジェネレーション」という呼び名を、これほど長期にわたって使い続けるとは思ってもみなかった。
 
心身ぼろぼろロスジェネ、迫られる再挑戦 日本の命運は
 1993年から2004年ごろまで新卒の求人倍率が極めて低かった時期に社会に出た世代。第2次ベビーブームの団塊ジュニアを含む約2千万人である。朝日新聞が07年1月に同名の企画を連載し、この名が広まった。就職氷河期世代と呼ばれることも多い。
 
 就職活動の時期にずれもあるため、現在は33歳から48歳ぐらいだ。社会の屋台骨として活躍する年頃だが、少なからぬ人が不安定雇用や低賃金にあえいでいる。今も「ロスト=失われた」世代という名が当てはまってしまう。それが、この世代の現実なのである。
 
 シンクタンクの日本総研がロスジェネ世代の苦境を詳細に浮かび上がらせた。男性では非正規雇用や、無業で求職もしていない非労働力人口の割合が年長世代よりも高く、中高年引きこもりの増加とも関連しているとみられる。賃金面でも、正規雇用を含めて他世代より低い。
 
【特集ページ】ロスジェネはいま
就職氷河期に世に出た世代を放置して、日本社会は大きなリスクを負った同様の世代を再び生まないためにも、日本の雇用システムは刷新が必要だ自己責任と突き放さず、個人の状況に即した多様性のある支援策を講じたい
 
 今この世代に注目が集まるのはなぜか。巨大な人口の塊を不安定な状況に置き、日本社会はボディーブローのようにダメージを受けているからだ。

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