霞が関の中央省庁で働く国家公務員の2割近くが過労死と隣り合わせの長時間労働をしていることが、霞が関国家公務員労働組合共闘会議(霞国公、笠原洋一議長)などが実施した「残業実態アンケート」で明らかになった。肉体的疲労や精神的ストレスを感じている職員も3人に2人に上っており、霞国公では「慢性的長時間残業の解消や過労死、過労自殺を出さない取り組みを進める」などとしている。
アンケートは、一般職員約4万5000人の約1割に当たる4617人から回答を得た。
時間外労働の上限の目安として、人事院は年間360時間(月平均30時間)を目標とする指針を定めているが、全体の平均残業時間は37.7時間。省庁別では、旧厚生省の75.8時間を最高に、旧労働省72.8時間、経済産業省50.3時間、旧運輸省46.2時間と続いた。
残業の要因(複数回答)としては、「業務量が多い(定員不足)」が64.2%で最も高く、以下は「国会待機のため」が22.7%、「不合理な仕事の進め方のため」が22.4%などだった。
過労死の「危険ライン」とされる月80時間を超える残業をしている職員は9.3%で、霞国公では「単純計算で、約4100人が過労死ラインで働いていることになる」と指摘。80時間を超える残業をしている職員のうち17.8%が「現在、過労死(の危険)を感じている」、36.3%が「過労死(の危険)を感じたことがある」と答えた。
業務に肉体的疲労や精神的ストレスを感じていると回答したのは66.7%。その原因としては、「仕事の量が多過ぎる」(51.2%)、「職場の人間関係」(50.1%)、「残業や休日出勤など長時間労働」(32.8%)などが多く挙げられた。また、「体の具合が悪くても休めなかったことがある」という人が53.6%と半数を超えた。
このような労働実態を反映して、健康状態については、「不調」「薬などを服用」「通院加療中」と答えた人が合わせて41.3%に上った。家庭生活にも影響を及ぼしており、「家族と全く夕食を共にできない」との回答が25.4%あった。 アンケートに関連して、霞国公では、問題となった「深夜の接待タクシー問題」についても触れ、「あってはならないことだが、何よりもタクシーを利用せずに帰宅できるよう超過勤務を縮減する対策を講じることが重要」としている。