電通の労使協定「無効」 違法残業は月最大19時間

 2017年07月07日 共同通信の配信
 広告大手電通の違法残業事件で、東京地検は7日、月50時間までの残業を認めていた電通本社と組合の労使協定(三六協定)について「組合が労働者の過半数で組織されておらず、無効だった」と明らかにした。

ただ地検は、協定の書面は労働基準監督署に提出されており、締結されていたと幹部が勘違いしたのもやむを得ないと判断。三六協定が有効だったとの前提で、違法な残業時間は、月最大で社員1人当たり19時間余りと結論付けた。

電通は取材に「非組合員の有期雇用社員が増えたためで、指摘を受け是正した」と説明した。

事件では、2015年12月に自殺した新入社員高橋まつりさん=当時(24)=の上司らが不起訴処分(起訴猶予)となる一方、法人としての電通のみが略式起訴された。

高橋さんの母幸美さん(54)は7日「上司個人が罪に問われないことはやりきれない」とのコメントを公表。代理人は、上司ら個人の不起訴について検察審査会に審査を申し立てるかどうかは未定とした。

東京地検は、東京労働局から労働基準法違反容疑で書類送検された高橋さんの上司1人を含め本社幹部3人に違法行為があったと認定した上で、悪質性は高くないと判断し 、5日付で起訴を見送った。法人については労基法の両罰規定に基づき略式起訴した。

東京簡裁に求めた罰金額は明らかにしていない。

起訴状では、社員4人に協定が定めた月50時間を超え、15年10〜12月に、3時間30分〜19時間23分の時間外労働をさせたとしている。

中部(名古屋市)、関西(大阪市)、京都(京都市)3支社の幹部計3人も地元の地検に書類送検されていたが、いずれも7日までに起訴猶予となった。

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