毎日新聞 【パリ福原直樹】スペイン大手労組は15日、政府の大幅な労働市場の自由化案や財政改革策などに反発し、9月29日に24時間のゼネストを行うことを決めた。深刻な経済危機に苦しむ同国は企業活性化を目的に、退職金の削減などを含む労働関連法の改正案を検討していたが、大きくつまずいた形。同国の危機回避策は労組の反発で、試練に立たされている。同国のゼネストは02年以来となる。
2大労組「労働者審議会」と「労働者一般連合」が、欧州連合(EU)財務相会議の開催予定日の同日に、スト決行を決めた。
毎日新聞の取材に応じた労働者一般連合のガルシア書記によると、政府はこれまで労組側に(1)退職金の削減(2)企業の労働時間短縮の容易化(3)短期労働者の雇用増加(4)企業と社員の賃金交渉の際は、全国規模の労組介入を排除し、各企業の主導権を確保する−−などの改正案を提示した。
だが労組側は「改正案は企業を優遇しすぎており、リストラ加速と失業率増加を招く」(同書記)と批判。最近、政府が決めた公務員の給与削減や、年金支給額の凍結などの財政再建策も、「将来的な賃金払い戻しなどの見返りが必要だ」(同)と主張し、妥結できなかった模様だ。
同国は、退職金水準がEU平均の約2倍で、短期雇用も難しいなど、企業側に不利な労働法が「景気回復の妨げとなる」と、国際通貨基金(IMF)などから批判されてきた。
政府は労組の同意がなくても法案を成立させたい構え。だが、ガルシア書記は「政府は福祉促進など労働者保護の公約を放棄し、金融機関救済を重視している」と対決姿勢を示している。