経産省幹部が“お願い行脚” 経団連幹部と懇談会

SankeiBiz 2013/10/11

茂木敏充経産相との懇談会であいさつする米倉弘昌経団連会長(右から3人目)=10日、千代田区大手町の経団連
茂木敏充経産相との懇談会であいさつする米倉弘昌経団連会長(右から3人目)=10日、千代田区大手町の経団連【拡大】

 茂木敏充経済産業相は10日、東京・大手町の経団連会館で米倉弘昌会長ら経団連幹部との懇談会を開いた。茂木経産相は、政府がまとめた大型の企業減税策について説明したうえで、経済界に賃上げへの協力を要請した。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」は、企業収益の改善で賃上げや消費拡大をもたらす好循環によるデフレ脱却を目指している。経産省は幹部職員が企業に出向いて“賃上げ行脚”を始めるなど経済界への働きかけを積極化させる。

 懇談会の冒頭、茂木経産相は「アベノミクスで実現した企業収益の改善を、賃金の引き上げや取引先企業の支援という形で還元して頂き、経済の好循環の実現に向けて確かな一歩を踏み出してもらいたい」と賃上げの必要性を強調した。

 それに対し、米倉会長は「企業収益の改善を雇用の創造や報酬の引き上げにつなげていく。経済の好循環を実現することが必要との認識を政府と共有し、経済界としてもタイムリーかつ積極的に対応していきたい」と応えた。懇談終了後、茂木経産相は記者団に対し、「われわれの意図をしっかり受け止めてもらった。前向きな行動をしてもらえると思う」と手応えを語った。

 茂木経産相が異例の賃上げ要請を行ったのは、安倍政権の至上命題であるデフレ脱却には企業の賃上げが不可欠だとの考えからだ。安倍政権は1日に消費税増税による景気の腰折れを防ぐため、経済対策の一環として企業減税を行うことを決定するなど企業業績の回復に向けた対策を矢継ぎ早に打ち出している。

 茂木経産相は「(安倍政権発足後の)9カ月でさまざまな効果が出ている。今こそ企業が行動してもらう段階だ」と経済界に賃上げを迫る。

 このため経産省は局長・課長クラスが経済団体や主要企業などを訪問し、賃上げを要請する取り組みに着手。2013年度中に100超の企業・団体を訪問する見通しで、「アベノミクスの効果を全国津々浦々にまで行き渡らせる」(経産省幹部)と意気込んでいる。

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