毎日新聞 ドイツ:「脱原発」閣議決定 22年までに 主要先進国初

毎日新聞 2011年6月7日 東京朝刊

【ベルリン篠田航一】ドイツは6日、22年までに国内全17基の原発を停止することを盛り込んだ改正原子力法案を閣議決定した。福島第1原発の事故後、各国が原発政策を巡って揺れる中、主要先進国で「脱原発」を正式決定するのは初めて。

メルケル政権は今後、連邦議会(下院)、連邦参議院(上院)の審議を経て、7月までに正式な法案成立を目指す。「22年まで」という目標はもともと、現在の最大野党・社会民主党と緑の党が連立を組んだシュレーダー前政権時代の方針だった。そのため、社会民主党も今回の決定に大筋で賛成する意向を示しており、法案成立は確実とみられる。

現在の原発17基のうち、故障・老朽化などで既に停止中の8基はこのまま再開せずに廃炉とし、残りの9基については21年までに順次停止する。原子力に代わる太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及が間に合わないケースも想定し、3基だけは22年まで稼働延長も可能とする。

原発停止に伴い、今後の焦点は代替電力源の確保に移る。レトゲン環境相は、再生可能エネルギーの比率を20年までに、現在の17%から35%まで引き上げる意向を示しており、裏付けとなる財源確保が政権の課題となる。

ドイツは02年のシュレーダー政権時代に22年までの「脱原発」を決めたが、メルケル政権は昨年、再生可能エネルギーの普及が進まないことを理由に、最長14年間の原発稼働期間の延長を決定した。しかし福島の事故を受け、政策変更を余儀なくされた。

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