産経ニュース 「原子力は危険なもの」 原発事故調初会合で畑村委員長

産経ニュース 2011/06/07

東京電力福島第1原発事故で、事故原因や法規制のあり方などを検証する第三者機関「事故調査・検証委員会」(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)の初会合が7日、東京都内で開かれた。年内に中間報告を取りまとめた上で、来年夏までに最終報告をまとめる方針。

菅直人首相は会合の冒頭、「国民への公開、国際社会における徹底的な公開も実行してほしい。世界が注目している」とあいさつ。「政府が『こういう方向で』と要請することは一切ない」とも言及、「私自身を含め、被告といったら強い口調だが、『出席しろ』といわれれば出席する。政府から独立してしっかり判断してほしい」と強調した。

畑村委員長は「原子力は危険なもの。安全とされてきたことは間違いと思っている」と述べ、可能であれば6月中にも福島第1原発への現地視察を行う意向を示した。また、「原因究明の動作ができなくなってしまう」として責任追及は目的としないと明言。「国民や世界の人々が持っている疑問に答え、100年後の評価に耐えられるものにしたい」と語った。

事故調は内閣府が設置。「社会システム等検証」「事故原因等調査」「被害拡大防止対策等検証」「法規制のあり方の検討−の4チームで構成される。炉心溶融(メルトダウン)や水素爆発といった深刻な事故に至った後の東電の対応だけでなく、後手後手に回った政府の対応も検証の対象となる。

原子力発電の規制当局である原子力安全・保安院が、原発を推進する資源エネルギー庁と同じ経済産業省に属している点などを踏まえ、安全規制に関する制度のあり方なども検証。住民への情報伝達が適切だったかどうかや、国際連携のあり方も検討する。米英仏など諸外国に情報を提供し、意見を求めていく。

10人の委員には、放射線や地震学の専門家をはじめ、元名古屋高検検事長の高野利雄氏ら法曹界関係者や作家の柳田邦男氏が名を連ねた。事務局長には前最高検総務部検事の小川新二氏を充てた。

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