朝日デジタル 坂本龍一さん「電気のため、なぜ命を」都心で脱原発デモ

2012/07/17

「脱原発」を訴える大規模な市民集会「さようなら原発10万人集会」が16日午後、東京・代々木公園で開かれた。ノーベル賞作家の大江健三郎さん(77)らが呼びかけた署名運動「さようなら原発1000万人アクション」の一環。約17万人(主催者発表)が全国から集まり、原発の再稼働に踏み切った野田政権に方針撤回を迫った。
 
「たかが電気のためになんで命を危険にさらさないといけないのでしょうか。子どもを守りましょう。日本の国土を守りましょう」。集会は午後1時、呼びかけ人の一人、音楽家の坂本龍一さん(60)のあいさつで始まった。
 
続いて壇上に立った大江さんは、6月15日に約750万人分の署名の大半を野田佳彦首相あてに提出した翌日に野田政権が関西電力大飯原発の再稼働を決めた経緯に触れ、「私らは侮辱の中に生きている。政府のもくろみを打ち倒さなければならないし、それは確実に打ち倒しうる。原発の恐怖と侮辱の外に出て自由に生きることを皆さんを前にして心から信じる。しっかりやり続けましょう」と訴えた。
 
「冥土のみやげに皆さんの集まった姿を見たかった」。こう切り出したのは作家の瀬戸内寂聴さん(90)。「政府への言い分があれば、口に出していいし、体に表していい。たとえ空しいと思う時があっても、それにめげないで頑張っていきましょう」
 
会場では音楽ライブやトークショーも開催。参加者は午後2時に集会が終わった後、渋谷など繁華街を「再稼働反対」と声を上げながらデモ行進した。

集会は、原水爆禁止日本国民会議(原水禁)が中心となって開催。労働組合の旗がたくさん掲げられるなか、手作りのプラカードを掲げる参加者も目立った。参加者数は担当者が分担して会場入り口の約10カ所で目測で数えて合計したという。昨年9月に東京・明治公園で開催した集会には6万人ほどが集まったが、今回はその規模を上回り、東京電力福島第一原発事故に関連した集会では最大規模としている。警視庁は公式発表していないが、警察関係者によると、把握した参加者数は約7万5千人だったという。
 
東京の集会に呼応し、各地でも集会やデモ行進があった。(澄川卓也)

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