【ワシントン=中山真】6日投票の米大統領選は全米各地で即日開票され、民主党のオバマ大統領(51)が共和党のロムニー候補(65)を破り、再選を果たした。オバマ氏は接戦となっていた大票田のオハイオなど激戦州の大半を制し、当選に必要な過半数の選挙人を確保した。金融危機後の低迷する米経済の再生を最大の争点に、中間所得層重視を掲げたオバマ氏が支持を広げ「小さな政府」を訴えたロムニー氏に競り勝った。
オバマ氏は同日夜、支持者向けのメールで「これは運命でも偶然でもなく、あなた方が実現させたものだ」と事実上の勝利宣言をした。「大統領でいる限り、あなたがたの支援を大切にするつもりだ。きょう(の結果)は普通の米国民が特定の利益団体に打ち勝つことができることを明確に証明したものだ」とも訴えた。
オバマ氏は民主党が地盤とする東部各州などで順当に勝利を重ねたうえで、激戦州ではミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンなどで相次いで勝利し、最も重要とされるオハイオも制した。製造業が集積する五大湖周辺地域はオバマ政権による自動車産業救済などの恩恵を受ける中間所得層が多く、こうした有権者らが4年間のオバマ政権の経済政策に一定の評価を与えた形となった。
一方、ロムニー氏は共和党の伝統的な地盤である南部などを固め、投票日当日までオハイオ、ペンシルベニア両州で遊説するなど中西部の激戦州でも追い上げを狙った。だが、激戦州では南部ノースカロライナ州を制したものの、雇用や景気などに関心の高い中間所得層が多い中西部で浸透しきれなかった。
選挙戦で、オバマ大統領は経済成長に中間所得層の底上げが不可欠と主張。自動車産業の救済や医療保険改革など1期目の成果を訴えた。さらに富裕層には増税などによる「相応の負担」を求め、中間所得層には手厚い減税を実施すると訴え、カギを握る中間所得層の支持を広げた。
ロムニー候補はマサチューセッツ州知事などを歴任した実績を訴え「強い米国」の復活を強調した。オバマ政権の「大きな政府」は財政赤字を拡大させるとともに、民間の経済活動を阻害するなどと批判。減税と規制緩和による民間主導の経済成長を訴え、終盤にかけてオバマ氏との支持率の差を縮めたが及ばなかった。
今回の大統領選では両陣営の政治団体に加え、「スーパーPAC」と呼ばれる独立系の政治団体が無制限に大企業などから政治資金を集め、テレビで大量の批判広告を投入。支持を決めかねている有権者の獲得に向けて、数多くの運動員を動員するなど物量重視の「どぶ板」選挙の様相も強まった。