名古屋市バス:勤務16時間超が121件 国の基準違反か

毎日新聞 2013年02月21日

 名古屋市営バス稲西営業所(名古屋市中村区)で昨年11月からの3カ月間、運転手の労働時間の基準として国の告示が定めた1日の拘束時間(最長16時間)を超す長時間勤務が121件行われていたことが20日分かった。関越自動車道で昨年4月に起きた高速ツアーバス事故を受け、厚生労働省はバス事業者に告示順守の徹底を求めており、名古屋西労働基準監督署は「告示違反の疑いがある」と問題視する。緑と猪高の2営業所でも同様の長時間勤務が行われており、市交通局は今月上旬、全10営業所に告示順守の徹底を指示した。

 毎日新聞が稲西営業所の全運転手約200人の乗務指示書や勤務記録簿(昨年11月〜今年1月分)を情報公開請求し、16時間を超す勤務が121件確認された。月に2、3回、上限を超えて勤務していた運転手がいたほか、「午前5時39分始業〜翌午前0時35分退所」など18時間以上勤務していたケースも複数あった。開示された乗務指示書の大半は勤務前日に印刷されており、シフトを組む段階から告示違反の勤務が予定されていたとみられる。

 名古屋西労基署は取材に対し「運行ダイヤが定まっている路線バスは勤務も適正に割り振りやすい。事前に拘束時間の上限を超えたシフトを組んでいたとすれば問題で、行政指導の対象になる」と指摘した。市交通局管理課の坂本登志夫課長は「局内で告示に対する認識が甘く、一部で違反があったが、チェックが働かなかった」と釈明した。

 告示は厚労省が89年に策定し、運転や乗客を待つ時間のほか、休憩や仮眠なども含めて拘束時間を1日16時間までとしている。関越自動車道で46人が死傷したバス事故を受け、同省は運転手の過酷な勤務が事故につながるとして、バス事業者に告示の順守を求めていた。【稲垣衆史】

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