パート、有期雇用も同待遇 正社員と同じ仕事なら 厚労省方針、1月にも改正案

日本経済新聞電子版 2014年1月5日

 厚生労働省は雇用期間に限りのあるパート労働者も、正社員と同じ仕事をしている場合は、賃金などの待遇面を正社員と同等にするよう法改正する。これまでは無期雇用のパート労働者のみが正社員と同待遇だったが、対象者を広げる。企業がパート労働者へのボーナスを増やしたり、福利厚生を充実させたりするのを促すのが狙い。

 1月にも労働政策審議会(厚労相の諮問機関)でパートタイム労働法の改正案をまとめ、次期通常国会に提出する。

 現行のパートタイム労働法では、(1)正社員と仕事内容や責任が同じ(2)人事異動がある(3)契約期間が無期――の3条件を満たすパート従業員について、賃金などの待遇面で正社員と差別してはならないと定めてある。今回の改正では(3)の条件をなくす。

 法改正で、正社員並みの待遇を受けられるパート労働者は現在の約17万人(全体の1.3%)から10万人程度増える見通し。ボーナスや手当も正社員並みになり、福利厚生施設の利用や研修も正社員と同じように受けられるようになる。ただ、雇用期間以外の条件は法改正後も残るため、例えば人事異動がないパート労働者などは対象にならない。

 パート労働者の7割は女性が占める。安倍政権は女性の活用に力を入れており、厚労省はパート労働者の待遇の向上で労働意欲を高める。ただ、対象となるパート労働者を雇用する企業にとっては負担増になる。

 日本も加盟する国際労働機関(ILO)は性別や雇用形態で賃金などの待遇に差をつけない「同一労働・同一賃金」を実現するため、加盟各国に法整備を求めている。

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