朝日新聞 2014年4月1日
相次ぐ過労死を防ごうと自民党は1日、過労死等防止対策推進法案の骨格を固めた。過労死の実態や防止策の研究を国に促し、自治体などに相談窓口を設けることを盛り込んだ。民主党などが昨年の臨時国会で同様の法律案を出しているが、今後の協議で一本化し、超党派の議員立法で今国会に提出したい構えだ。
自民党案は、過労死対策を行うことを「国の責務」と定め、自治体や企業に国への協力を求める。具体的には、働きすぎによる病気やケガについて調査する▽過労状態の人やその家族が利用できる相談窓口を整える▽過労問題に取り組む民間団体を支援する――ことを政府や自治体に求める。過労死対策の計画(大綱)を政府がつくり、過労死遺族らがその内容をチェックする仕組みも設ける。
厚生労働省によると、脳や心臓の病気で死亡し、労災認定された人は2012年度で123人。3年続けて増え、うち9割が月80時間超の残業をしていた。心の病気で自殺をはかった人にも長時間労働をしていた人が多い。法律で新たな労働時間規制ができるわけではないが、法制定に取り組む関西大学の森岡孝二名誉教授は「国や企業に過労死問題への自覚をうながす第一歩になる」と話す。