過労死認定判決 「息子が死んだ理由がやっと仕事だと認められた」と母親

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150204-00000579-san-soci
産経新聞 2015年2月4日
 
 過労死の労災認定基準は、厚労省が労働基準局長名の「通達」として平成13年に定めた。行政実務上、労災と認める時間外労働を半年以内で月平均80時間と示しており、これが「過労死ライン」と呼ばれる。

 厚労省統計によると、25年度に過労死で労災認定された133人のうち、時間外労働が月平均80時間未満だったのはわずか16人(12%)。遺族や弁護士らは「労基署は時間数が過労死ラインに届いていないという理由で画一的に切り捨てている」と批判していた。

 今回の判決は、司法が行政の設定したハードルを下げて被害者を救済したという側面があり、過労死問題に詳しい森岡孝二・関西大名誉教授(企業社会論)は「実態に即した司法判断だ。企業が労働者の疲労の蓄積を漫然と見過ごすことは許されない、というメッセージとも受け取れる」と評価する。

 男性の遺族らは、過労死を国の責務で防ぐことなどを定めた昨年11月施行の「過労死等防止対策推進法」の制定を求める活動にも参加。今回の訴訟をめぐっては、国側が労災を認めようとしない姿勢を示し続けたことに、強い不信感を抱いていたという。

 大阪市内で記者会見した父親(66)は「会社に労働基準法を順守させていれば息子は死ななかったと思う。厚労省は判決を厳粛に受け止めてほしい」。母親(62)は「息子が死んだ理由がやっと仕事だと認められて、ほっとしている」と涙を流した。
 

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