http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-11-06/2015110601_01_1.html
しんぶん赤旗 2015年11月6日
厚生労働省が発表した2014年「就業形態の多様化に関する総合実態調査」(4日)で、労働者全体に占めるパートや派遣など非正規雇用の割合は、各種調査のなか初めて4割に達しました。
女性が多いパート労働者や高齢者の再雇用の増加によるもので、非正規社員を雇用する理由(複数回答)は、「賃金の節約」(38・6%)が最多。ネット上では「1億総活躍どころか“1億総貧困”だ」との声が上がっています。
調査は、官公営を含む約1万1千事業所(5人以上)と労働者3万4千人から有効回答。
昨年10月1日時点で非正規社員の割合は40・0%で、2010年の前回調査より1・3%上昇しました。1987年の調査以来初めての4割。その内訳はパート23・2%、契約社員3・5%、定年後の再雇用2・7%、派遣社員2・6%などとなっています。
事業所が非正規雇用を使う理由は、「賃金の節約」に続いて「仕事の繁閑に対応」が32・9%。賃金(月額)は、正社員の「20万〜40万円未満」60・5%に対して、非正社員は20万円未満が78・2%にも及び、正規雇用の安価な代替として活用されていることを示しています。
労働者が非正規雇用を選んだ理由では、「正社員雇用がない」が派遣社員と契約社員(専門職)でそれぞれ37・7%、31・8%を占めています。パートの11・7%を大きく上回ります。
非正規雇用でなく「正社員に変わりたい」は、契約社員53・8%、派遣社員48・2%。非正規全体でも前回より5ポイント増の30・7%にのぼります。
安倍内閣は、こうした深刻な事態にもかかわらず通常国会で派遣法改悪など非正規雇用の拡大をすすめています。「1億総活躍」構想でも「生産性革命」の名で労働法制の規制緩和を打ち出し、女性や高齢者を非正規雇用で働かせる方向です。
労働者の願いに逆行する規制緩和
金沢大学名誉教授 伍賀一道(ごかかずみち)さん
非正規雇用が40%に達した原因の一つは、労働法制の規制緩和があります。同時に、非正規雇用に依存する流通・飲食サービス業などが日本の中心産業になっていることも特徴だと思います。
賃金の実態は深刻です。非正規雇用労働者のうち月収20万円未満は78・2%です。男性で6割近く、女性では9割近くになります。
低賃金の非正規雇用の増加が個人消費の低迷を招き、景気回復の阻害となっています。
一方、正社員に変わりたいと考えている労働者は30・7%に増加し、契約社員、派遣労働者では5割前後に達しています。
安倍政権は労働者派遣法改悪など、こうした労働者の願いに逆行することばかりやっています。こうした規制緩和をとめる必要があります。あわせて、低すぎる日本の最低賃金を大幅に引き上げなければいけません。正社員と非正規雇用の格差を是正していくことが緊急に求められています。