YOMIURI ONLINE 2017年12月01日
http://www.yomiuri.co.jp/chubu/news/20171201-OYTNT50000.html
会社員の女性が自殺したのは、職場でのパワハラが原因だとして、女性の両親が勤務先の「加野青果」(名古屋市熱田区)と当時の先輩社員2人に計約6400万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が30日、名古屋高裁であった。永野圧彦裁判長は、パワハラと自殺の因果関係を認めず賠償額を165万円とした1審判決を変更、因果関係を認めて同社に約5500万円の支払いを命じ、うち165万円については社員2人と連帯して支払うよう命じた。
原告側は、2012年に自殺した女性(当時21歳)(同市北区)が社員2人に「同じミスばかりして」などと職場で繰り返し叱責されるなどしたほか、十分な指導もなく、過重な業務をさせられて、うつ状態に陥った末に自殺したと主張。一方、会社と社員側は、叱責は業務上必要だったなどと反論していた。
判決で永野裁判長は、1審の名古屋地裁判決が認めなかった女性のうつ病発症を認定。社員の叱責は社会通念上、許容される範囲を超え、不法行為にあたるとして、会社に使用者責任があるとした。さらに「女性が支援を必要とする状況だったことは十分認識できたのに、適切な対応を怠った」と指摘し、会社側には女性がうつ病を発症し、自殺する可能性が予見できたと結論づけた。
判決後、名古屋市内で記者会見した女性の母親(54)は「娘に落ち度がなかったことがはっきりした。周囲の支援がなければ、心がむしばまれる」と述べ、パワハラをなくす活動に取り組みたいとした。
加野青果は「担当者が不在でコメントできない」としている。