毎日新聞2018年4月7日 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20180407/ddm/001/010/138000c
政府は6日、働き方改革関連法案を閣議決定し、国会に提出した。政府・与党は「多様な働き方を実現する」として、早期の成立を目指す。残業時間の罰則付き上限規制とともに法案の柱とされているのが、一部専門職で年収が高い人を労働時間の規制対象から外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)で、野党は「残業代ゼロ法案」と批判し徹底抗戦する構えだ。
安倍晋三首相は今国会を「働き方改革国会」と位置づける。当初は2月下旬に閣議決定することを目指したが、法案の根拠となる厚生労働省の労働時間のデータに異常値が見つかり、裁量労働制の対象拡大の削除に追い込まれ、閣議決定は大幅にずれ込んだ。
法案は、労働基準法など八つの労働法規の改正が一つに束ねられた形になっている。残業時間の上限規制など規制の強化と、高プロの創設といった緩和の要素が抱き合わせになっているのが特徴だ。
高プロの対象は、金融ディーラーやコンサルタント、研究開発職などが想定されている。法案には、労使協定(36協定)で定める残業時間を最長でも「月100時間未満、年720時間」とする罰則付きの上限規制や、正規・非正規労働者の不合理な待遇差を禁じる同一労働同一賃金の導入などが盛り込まれた。与野党最大の争点になる高プロについて、菅義偉官房長官は6日の記者会見で「働き過ぎを防止するための厳しい措置を講じた上で、成果で評価する制度。あくまでも本人が同意した場合に限り制度を適用するので全く問題ない」と語った。
立憲民主党の辻元清美国対委員長は報道陣に「高プロを長時間労働の規制と抱き合わせにして出してきたことを認めるわけにはいかない」と政府の対応を批判。連合の相原康伸事務局長は記者会見で「残業時間の上限規制などよりよくしていくものが入っているが、高プロなど取り除かなくてはいけないものも入っている。注視していきたい」と語った。【神足俊輔】