厚労省 最低賃金の調査で、また、大きなミス(5/15)
□厚生労働省労働基準局 賃金課 最低賃金係 令和元年5月14日
賃金改定状況調査の復元推計値の公表等について
□厚労省、最低賃金に関わる統計でミス
日本経済新聞 2019/5/14 21:42
厚生労働省は14日、最低賃金を決める目安となる一般統計の調査方法に誤りがあったと発表した。平均賃金改定率などの集計結果について必要な統計処理をしていなかった。さらに一定の回答数を確保するために、事前に計画した対象数を超えて調査票を送っていた。
同日開いた審議会で、こうした誤りが過去に決定した最低賃金の水準に影響を与えないことを確認したという。
産業別の賃金上昇率などをまとめた一般統計「賃金改定状況調査」で誤りが発覚した。最低賃金を決める上で重視される労働者の賃金上昇率は復元加工をしていたが、それ以外の項目については単純集計した結果を公表していた。
また、総務省に提出した計画では調査対象事業所を1万カ所としていたが、実際には短期間で一定の回答数を確保するために2万カ所に調査票を送っていた。今後は総務省と協議のうえ、1万6000事業所に改める。
いずれも自己点検で発覚したという。厚労省では「今回の見直しで最低賃金の決定時期に影響は出ない」としている。
□厚労省、賃金改定調査でミス=最低賃金の議論に使用
時事通信 2019年05月14日20時22分
厚生労働省は14日の中央最低賃金審議会で、最低賃金の引き上げの議論に使われた賃金改定状況調査に関連し、抽出した数値を全数に近づける復元処理を行わないなどのミスがあったと報告した。調査計画の対象だった1万事業所の倍、2万事業所に調査票を送付しており、委員からは「計画通りに調査が実施されていなかったのは大変遺憾だ」との批判が出た。
賃金改定調査は国の一般統計で、春闘の結果を最低賃金の議論に反映させるため、毎年の賃金の水準や上昇率などを調べる。重要な数値については抽出調査の結果が全体を反映するよう復元していたが、それ以外では単純集計にとどまっていた。厚労省の報告を受けた仁田道夫会長は「過去の議論に影響はない」との認識を示した。
□賃金改定調査で不正 厚労省 最賃改定の審議データ
しんぶん赤旗 2019年5月15日(水)
厚生労働省は14日の中央最低賃金審議会で、最賃の改定審議に使われる賃金改定状況調査で、抽出したデータを日本全体の状況にあわせる「復元処理」を一部を除いて行っていなかったことを明らかにしました。データ偽装が発覚した毎月勤労統計のほかにもデータの不正処理が行われていたものです。
賃金改定状況調査は毎年6月1日時点の状況について各事業所へ調査票を発送して集計しています。回収したデータは業種や地域ごとに抽出率が異なるため日本全体の状況にあわせる復元処理を行うのがルールです。
しかし、回収データのうち賃金上昇率については復元処理していましたが、賃金引き上げ事業所の割合や平均賃金改定率などについては、単純集計ですませていました。その結果、最大で1・7ポイント過大な数値となっていました。
また、総務省が承認した計画では1万事業所に調査票を送付する予定でしたが、回収率を確保するためという理由で2万事業所に送付していました。
厚労省の五百旗頭千奈美賃金課長は、春闘の賃上げ状況を速やかに審議に反映するため単純集計していたと説明。復元処理をしていなくても「大きな変動はない」と述べました。
これに対し「復元で男女比率が逆転する」(使用者側委員)「計画通りでないのは遺憾。信頼に資する制度に」(労働者側委員)との意見が出されました。
同省は、今年度以降は全データについて復元処理を行うと説明。調査事業所については1万6000事業所に送付し、回答を督促すると述べました。