3年で身も心もぼろぼろに 裁量労働が強いた長時間労働 (5/22)

3年で身も心もぼろぼろに 裁量労働が強いた長時間労働

朝日新聞デジタル有料会員限定記事 榊原謙 2019年5月22日09時30分
 
写真・図版 長時間労働による精神疾患の労災が認められ、記者会見に臨んだ女性=2019年5月13日午後、都内
 
 5月13日午後。労働組合「裁量労働制ユニオン」の坂倉昇平代表らに付き添われ、ある女性が都内で記者会見に臨んだ。長時間労働で適応障害を発病した、という労災申請が、中央労働基準監督署に認められたのだ。
 
 女性は、時折声をかすれさせながら、「ようやく自分は悪くなかったんだ、と言われたような気がして、ホッとしました」と語った。
 
 ユニオンによると、中央労基署は、女性が適応障害を発病する2カ月前から6カ月前の間に、毎月41時間30分〜131時間45分の残業をし、直前の1カ月間には173時間15分働いていたと認めた。
 
一発で基準超え
 厚生労働省の基準では、精神疾患の発病直前の1カ月間で160時間以上の残業をするなどしていた場合、業務による「強い心理的負荷」があったとして、労災が原則認められる。女性の残業173時間は「(基準を)一発で超えていた」(ユニオン)。
 
建築専攻の女性は4年前、期待に胸を膨らませ建築設計事務所に入りました。待っていたのは生命に関わるほどの長時間労働。「過労死ライン」を超える残業をしながら、女性は「私が悪い」と自分を責め続けました。なぜ長時間労働が続いたのか。背景には会社が導入していたある制度がありました。
 
 大学・大学院で約6年間、建築の勉強をした女性は2015年4月、プランテック総合計画事務所(東京)に新卒で入った。建物全体の意匠を考える建築設計の仕事を始め、入社3カ月目には残業時間が月100時間を超えていた。
 
 女性のタイムカードなどをもとにその後の働き方をみると――。
 
 26日間連続勤務▽1日22時…
 

 

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