「ヤマト運輸」運転手死亡 過労死認める判決 熊本地裁
NHK 2019年6月26日 19時17分
宅配大手「ヤマト運輸」の運転手だった40代の男性が死亡したことをめぐり、遺族が過労が原因だと訴えた裁判で、熊本地方裁判所は「業務による負荷が病気の発症の有力な原因となっていた」として労災と認める判決を言い渡しました。
熊本市北区にある「ヤマト運輸」徳王支店に運転手として勤めていた長尾倫光さん(当時46)が平成26年、業務中にくも膜下出血を発症し死亡したことをめぐり、長尾さんの妻は過労が原因だとして、労災保険の給付を認めなかった労働基準監督署の処分の取り消しを求める訴えを起こしました。
26日の判決で熊本地方裁判所の小野寺優子裁判長は「病気の発症前1か月間の業務は、特に著しい疲労の蓄積をもたらすものだった。業務による負荷が病気の発症の有力な原因となっていたと見るのが妥当で、因果関係が認められる」として労災と認め、労働基準監督署の処分を取り消しました。
熊本労働局労災補償課は「今後の対応については判決文の内容を検討して、関係機関と協議したうえで判断したい」としています。
「過労死二度と出さないで」
判決後、長尾さんの妻の由美さんは会見を開き、「夫が亡くなってから精神的にきつかったですが、訴えが認められて大変うれしく思います。小学5年生の娘がいますが、すごくつらい思いをさせたと思います。過労で亡くなる人を二度と出してほしくありません」と、ことばを詰まらせながら話していました。
原告側の松丸正弁護士は「正面から労働実態を把握していて、意義がある判決だ」と述べました。