「生きる権利を地方から奪うのか」診療実績の分析に批判 (9/28)

「生きる権利を地方から奪うのか」診療実績の分析に批判
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朝日新聞デジタル 鈴木峻 2019年9月28日10時42分

写真・図版 平井伸治知事(右)に地域医療を守るよう求める要望書を手渡す「自治体立病院を考える議員の会」の福間裕隆県議=2019年9月27日午後3時34分、鳥取市東町1丁目

 地域の医療体制を見直すため、厚生労働省は診療実績を分析し、全国424の公立病院などに再編統合などの検討が必要とする結果を発表した。この中に鳥取県内の岩美病院(岩美町)、日南病院(日南町)、済生会境港総合病院(境港市)、西伯病院(南部町)が含まれていたことを受け、平井伸治知事は27日、厚労省の分析を批判した。

公立・公的424病院「再編統合検討を」 厚労省
県議会9月定例会で銀杏泰利県議らの質問に対し、平井知事は「中山間地はもともと症例が少ない。単純に数字が足りないから再編が必要と決めてしまうのは違和感を覚える」と批判。名指しされた病院には市町村立病院が多く含まれており、市町村と連携する全国ネットワークを立ち上げ、国と協議する考えを示した。

 厚労省の分析は政府が進める「地域医療構想」の一環。全国1455の公立病院と日本赤十字社などの公的病院を分析し、診療実績が特に少なく、近くに似た医療機関があるなどの病院を挙げ、来年9月までに病床の削減や再編統合などの結論を出すよう求めた。

 平井知事は取材に対し、「福祉と結びつくなど様々な病院のあり方があるのに、それを捨象している。生きる権利を地方から奪うのか」と不快感を示した。26日に厚労省のワーキンググループに、方針は不適切だとする意見書を提出したことも明らかにした。

 超党派の県議らで作る「自治体立病院を考える議員の会」は27日、「地域医療の崩壊につながりかねない公立・公的病院の再編統合の議論を拙速に進めることなく、地域医療を堅持して欲しい」などと求める要望書を平井知事に手渡した。県議らは、県議会9月定例会で、同様の内容の意見書を提出することも検討しているという。(鈴木峻)

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