定職も進学も… ニューカマーの子に迫る「貧困の連鎖」
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朝日新聞デジタル 藤崎麻里 2019年10月18日07時30分
〔写真・図版〕「日本が好き。ずっと日本で住みたい」と話すモハマド・マハディさん=大阪府門真市の門真なみはや高校
高校生向けの進路相談の場に、弁護士(中央奥3人)が在留資格について説明する一角がもうけられ、個室での個別相談にも応じた=東京都千代田区
大阪府立・門真なみはや高校に通う2年生のモハマド・マハディさん(19)。その前に「進路」という壁が立ちはだかっている。外国にルーツを持つ子どもの前だけに立ちはだかる、制度の壁だ。「教育を受け、安定した職に就きたい」という当たり前の希望も、かなえられる見通しが持てない状況に置かれている。
「ビザが変えられない。ルールもよくわからない。大学に行くにもお金がない」と、マハディさんは言う。なぜ、八方ふさがりのような状況に陥ってしまっているのか。
「いい未来のために、日本へ」
マハディさんの家族の出身国はアフガニスタン。戦火に荒れた国土から逃れ、移住した先の中東・ドバイで、マハディさんは生まれ育った。
来日したのは2015年。中古車販売業を営む父は、日本に移住する理由をこう語った。
「子どもたちにとっていい未来のために、日本へ行く」
15歳で来日したマハディさんだが、中学校に通うことはできなかった。当時住んでいた自治体では「学齢通り」でしか中学校への入学を認めてもらえなかったからだ。
日本語もまったくわからず、社会との接点もないまま、約1年を孤独に過ごした。父の知人に紹介してもらった夜間中学でやっと学ぶことができ、1年通って18歳で門真なみはや高校に入学した。
日本で父の仕事を手伝いながら、いずれは自分のビジネスもやりたい――。教育の機会を得て、ようやくマハディさんも将来に夢が持てるようになった。
ところが、マハディさんの夢の実現を、さまざまな制度が阻んでいる。
まずは「ビザの壁…
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