ブラックバイトに政策示して 実態調査「不当な扱い」7割

京都新聞 2014年12月11日

ハローワークで仕事を探す求職者(左)。急増する非正規雇用がブラックバイトの問題を引き起こす一因になっている(京都市上京区・京都西陣公共職業安定所)
ハローワークで仕事を探す求職者(左)。急増する非正規雇用がブラックバイトの問題を引き起こす一因になっている(京都市上京区・京都西陣公共職業安定所) 学生アルバイトに過度なノルマやサービス残業を強いる「ブラックアルバイト」が問題になる中、京都や滋賀の学生らが14日投開票の衆院選で「具体的な対策を示してほしい」と訴えている。

 京都市の大学に通う男子大学生(19)は11月中旬まで働いていた滋賀県内のコンビニで被害にあった。冬はクリスマス、歳暮、節分と続く商戦で、オーナーから家族にも声をかけて予約をとるよう命令された。やむを得ず自分名義で自宅に贈り物を届けたこともあった。アルバイトにもかかわらず、達成できない場合は反省文を書かされ、勤務時間外に掃除を強要された。

 1年半働き、10万円以上稼ぐ月もあったが、勤務時間は100時間を超え、大学の授業は欠席が多くなった。持病のアトピー性皮膚炎が悪化したといい、「ノルマも当然と思わされる雰囲気があった。使い勝手のいい駒にされていた」と振り返る。

 ブラックバイトの相談に取り組む学生団体「京都POSSE」(京都市東山区)などが、11月に一部公表した全国のアルバイト実態調査結果では、バイト経験者約2500人の7割が、望まないシフト設定や残業代の未払いなど不当な扱いがあったと回答した。「コンビニや飲食店などで正社員が減り、非正規社員が増えたことで、本来は補助的な役割のバイトが正社員の仕事を担わざるを得ない構造が背景にある」と分析する。京滋分の調査結果は今後解析する予定だが、京都や滋賀は学生が多く、同様の問題が起きているとみている。

 過酷なバイト生活を辞めた男子大学生は、アトピー症状が改善し、大学を休むこともなくなった。「労働関連法制と監視体制を整えて対応しなければ、同世代がまた被害に遭うかもしれない。ブラックバイト解決に向けた政策を聞きたい」と候補者の訴えに耳を傾けている。

この記事を書いた人