ウーバーイーツが一方的な報酬引き下げ。労働組合が抗議
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2019.12.06 板垣聡旨 ハーバー・ビジネス・オンライン
ウーバーイーツユニオンが報酬の引き下げに抗議
ウーバーイーツユニオン 2019年12月5日に、外食宅配事業を行うウーバーイーツの配達員で結成された労働組合「ウーバーイーツユニオン」が、東京都千代田区にて記者会見を行った。
ウーバーイーツを日本で運営する「ウーバージャパン」は、10月18日に配達員の労働環境改善に関する団体交渉を拒否。11月29日には、ウーバージャパン側が配達員に対して一歩的な報酬引き下げを行った。
ウーバージャパンが距離報酬と荷物の受け取り報酬をカット
「一方的な報酬引き下げはおかしい。事前説明はなく、配達員との協議もなかった。納得できる理由を求める」
11月29日、ウーバージャパンは、東京の配達員に対しての基本報酬を引き下げた。ウーバーの報酬は、配達距離や荷物の受け取り料金といった基本料金とボーナス報酬が合わさることで決まる。
1キロ荷物を運ぶと距離報酬が生まれる。これまで150円だったものが、改定後は60円になった。これは、およそ6割のカットとなる。その他にも、荷物の受け取り報酬では約12%のカットが起きた。ウーバーイーツユニオンの前葉富雄執行委員長は話す。「5キロの配達を行うと従来は793円だった。変動後、621円となり、約28%減ってしまいます」。
今回の報酬引き下げは、11月20日に送られた一通のメールのみで通知。ウーバー側は、11月25日から12月1日の7日間、東京港区にあるパートナーセンターにて説明会を行ったものの、改定前の収入維持はされるのかといった質問に対して、具体的な回答はなかったという。
「現場にしかわからないことがある。現場の意見を汲み取るビジネスモデルを作るべき」と組合側は訴えた。
ウーバーイーツジャパンは配達員は「労働者」に該当しないと主張
ウーバーイーツユニオン 同ユニオンは、2019年10月3日に発足した。5日後の10月8日に、組合はウーバージャパン株式会社に対して、団体交渉を申し入れた。内容は、(1)事故や怪我の保障が充分なのかの調査依頼、(2)一方的なアカウント停止に対しての協議、(3)距離報酬の計算基準の説明、など。
10月18日、ウーバージャパンは団体交渉を拒否した。理由は、(1)配達員はオランダに所在するウーバーポルティエBV社と契約をしているから、(2)配達員は労働組合法上の「労働者」に該当しないから。
これに対して記者会見では、日本労働弁護団の川上資人弁護士が反論。配達員は労働者に当たると主張した。
「判例をみると、労働者に当たるかどうかは、3つの観点から判断されるべき。(1)事業組織の組入れ、(2)契約内容の一方的決定・定形的決定、(3)報酬の労務対価性が認められるかといったもの。ウーバーの配達員は、外食配達事業の配達員として事業に組み込まれている。今回の報酬引き下げは一方的であり、報酬は配達員の距離といった労務提供の多少で決まるので、報酬の対価性は明らかだ」
今後、組合側は労働委員会に不当労働行為救済の申立てといった対応を検討しているとのこと。
<取材・文/板垣聡旨>
板垣聡旨
ジャーナリスト。ミレニアル世代の社会問題に興味がある。ネットメディアを中心に、記事の寄稿・取材協力を行っている。