副業の労災認定しやすく 本業と労働時間合算、厚労省案 (12/23)

労政審部会「労災認定は副業の時間も合算」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191223-00000040-kyodonews-soci
2019/12/23(月) 10:43配信 共同通信

 厚生労働省の労働政策審議会の部会は23日、副業や兼業で仕事を掛け持ちする人の労災認定について、すべての労働時間を合計して算出した残業時間を基に判断する新制度の導入で合意した。


副業の労災認定しやすく 本業と労働時間合算、厚労省案
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53681240T21C19A2MM0000/?n_cid=NMAIL007_20191223_H
2019/12/23 10:34日本経済新聞 電子版

厚生労働省は兼業や副業を手掛ける人が勤務中の事故などで働けなくなった場合に、本業の賃金と通算して労災保険を給付する仕組みを整える。いまは事故の起きた勤務先の賃金分しか補償していない。長時間労働を原因にした労災の認定基準も複数の職場の労働時間を合算する仕組みに改める。働き方が多様化するなか、労災を認定しやすくし、雇用のセーフティーネットを強化する。

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厚労省は23日開いた労働政策審議会の部会で労災保険制度の見直し案を示し、了承された。2020年の通常国会に改正法案の提出をめざす。

労災保険は企業が保険料を負担する。現在の仕組みでは、例えば月収20万円のA社と同15万円のB社を掛け持ちし、B社の仕事中に事故に遭って休業した場合、B社の15万円分のみを前提に労災の給付額を算出する。

制度改正後は月収35万円が基準となるため、副業をする人への補償が手厚くなる。通勤災害の場合も同じように賃金を合算して給付額を決める。現在の労災保険の給付規模は全体で年間8300億円程度。制度の見直しによって2つ以上の職場を合算すると、給付は年120億円程度増えると見込んでいる。

長時間労働を原因とする労災の認定基準についても、複数の勤め先の労働時間を合算する仕組みに変える。労災の認定基準は発症前1カ月の残業時間が100時間を超えているかどうかだ。

例えばA社で週40時間、B社で同25時間働いている場合、A社での勤務時間は法定労働時間の範囲だが、B社で働く時間を考慮すれば、実質的な1カ月あたりの残業時間は100時間になる。ただ、いまは労災に認定するかどうかは就業先の業務負荷ごとに判断する。労働時間を合算するように変われば、労災として認められやすくなる。

総務省の17年就業構造基本調査によると、副業を持つ人の数は267万人にのぼる。仕事を持つ人の4%を占めており、5年前の前回調査に比べて0.4ポイント増えた。人手不足から副業を認める企業も増えており、非正規社員だけでなく、正社員にも副業がじわじわと広がっている。働き方の多様化が進むなか、制度や政策の対応が課題だ。

雇用のセーフティーネットは労災と雇用保険がある。雇用保険については65歳以上に限り、複数企業で働いた場合に労働時間を合算する制度を試験導入する。失業給付でモラルハザードが起きないかなどを検証したうえで、制度導入の是非を判断する。
 

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