非正規職員が半数以上の自治体 「ボーナス支給も月給減」懸念、実情とは (1/14)

非正規職員が半数以上の自治体 「ボーナス支給も月給減」懸念、実情とは
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/122590
2020/01/14(火) 7:30配信 京都新聞

非正規職員が半数以上の自治体 「ボーナス支給も月給減」懸念、実情とは

〔写真〕非正規職員の割合が57%の木津川市役所

 京都府南部(山城地域)の12市町村のうち7市町で、全職員数に占める非正規職員の割合が5割を超えている。この大半が、「同一労働同一賃金」の実現を目指して2020年度に新設される「会計年度任用職員」の身分に移行する。非正規職員である嘱託職員と臨時職員なしには住民サービスが成り立たないのが実情で、期末手当(ボーナス)の支給など待遇改善が進む見通しだが、正規職員の給料との差が埋まるのか懸念する声が上がっている。

 山城地域では、規模が大きい自治体で比較的、非正規職員の割合が高い傾向にある。非正規職員の割合が57%(19年4月現在)と山城地域で3番目に高い木津川市は「保育士や放課後児童クラブ(学童保育)の支援員などの確保のため、非正規職員が多くなる」とする。
割合が最も高いのは井手町の61%。町は「正規で採用できなかった保育士の仕事枠を、複数の非正規職員がシフト制で補っている」とし、2番目に高い久御山町(59%)も「延長保育を担う人材として雇っている」と説明し、近年の保育ニーズ増大に伴った対応とする。
非正規職員は、役所の事務職や図書館司書、給食調理員などさまざまな職種で働いている。全国的に増加傾向にあり、自治体間で異なる非正規職員の勤務条件などを統一し、役割や義務を明確化させるため、17年に地方自治法と地方公務員法が改正された。
会計年度任用職員の制度は4月に始まる。ボーナスをはじめ手当の支給が可能で、山城地域の全12市町村では、フルタイムの非正規職員などがボーナスを受け取る。従来よりも手当が手厚くなるため、各自治体では、20年度の人件費が増加する見込みだ。
城陽市は、最大2億円の増加を想定し、木津川市では、1億2千万円と試算する。非正規職員の人数が最も多い宇治市では、すでに嘱託職員にボーナスを支給しているため、5800万円増となる。
20年度の移行開始を受け、非正規職員の声を反映した処遇改善を訴える新たな動きもある。宇治市では、市非常勤職員労働組合が18年12月に発足した。現在は36人が加入し、制度への理解を深める勉強会などを実施。組合員を増やし、安定して働ける労働条件を整えるよう訴える。
各自治体は現在、同職員に関する詳細な給与条件や規則などを策定中だ。自治労京都府本部は「ボーナスを支給する一方で、月額の給料を減らすことで、年収アップにつながらないケースなどが出てくる可能性がある」と指摘。「財政悪化などを理由に、処遇改善が進まないのは、会計年度任用職員の制度の目的に反する。各自治体は、職員間で格差が生まれないよう取り組むべきだ」とする
 

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