服部信一郎 雇用調整を把握しない政府統計

世界同時不況のもと、日雇い派遣労働者ら不安定雇用労働者に恐怖が襲いかかっている。すでに雇い止め、雇い止めに至らずとも労働時間数の減少などのため、1日の食事をこれまでの2回から1回にした労働者がいる。ある建設現場で働く労働者は、飯場で寝ることが出来るが、日雇いの仕事が無くなったので、食べることが出来ないと、相談に訪れている。
しかも、日雇い派遣会社は事業を縮小、撤退を始めている。最悪の事態を回避させなければないない。大阪府に基本要求をしたところ、大阪府の政府要望を取りまとめる時期にあり、意見を聞きたいと言ってきた。近日中に、大阪労連として「詳細な要望」を提出する予定である。
そんな事もあって、大阪労働局職業安定部職業対策課雇用計画係雇用情報班に、「雇用調整掌握の現状」を聞いた。かって円高不況の時に、「大量雇用変動届」(1ヵ月以内に30人以上の雇い止め、雇用調整は届け出でなければならない、強制法規である)を、10人以上に変更し、制止すべきだと食い下がって、大企業の正規やパート労働者の雇用守る運動を思い出したからである。
愕然とした。変動届には、日雇い派遣労働者、一般派遣労働者の多くは、大将となっていないのである。
* 「大量雇用変動届」
変動届数や内容は公表しない。その実態を聞くと、状況は「急増している、届け出の半数以上は大企業で、製造業そして卸小売り、建設が業種として多い」「30人以上とは6ヵ月以上の常用雇用で、日雇い派遣は含まれず、一般派遣もケースバイケースである」と。中小企業は30人以上の雇用調整が迫られる状況とは、倒産状況であり、変動届の多くは大企業と考えられる。
 真っ先に雇用調整(解雇)される不安定労働者の悲劇が、政府によっても隠される現状にある。
* 雇用調整助成金(事業縮小のもと休業などの処置をした企業に助成される)
これは公表されており、大阪労働局のHPからもダウンロードできる。本年8月まで、件数と金額が明らかになっているが、まだ、数字上には表れておらず、これからの推移を見る必要がある。近年ではバブル崩壊後期の1999年度の4827件、45億2700万円が最高(昨年は29件1210万円であった)であった。
 
来週には、大阪労連の「日雇い派遣労働者らの雇用・生活対策要求」を紹介したい。

 

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