上西充子さん「当事者として物を言おう」+『10代からのワークルール』

 (W)「生活と健康を守る新聞」(全生連)2019年4月28日第2452号に、上西充子さんの以下のような文章が掲載されていました。働き方をめぐって共感できる内容です。

 
□発言抄
当事者として物を言おう
上西充子さん
法政大学教授
 
 『10代からのワークルール』(旬報社)という本を出版しました。働くことの目的は、「お金を稼ぐため」「自己実現のため」と大きく2つでしょう。しかし、小〜高校の「キャリア教育」では、後者に力点が置かれがちです。あまり労働法が語られないことが気になっていました。
 若者たちは親世代が長時間労働で疲弊する姿を見ています。それを踏まえた上で、法律や労使協定が自分をどこまで守ってくれるのか、その知識を持ったほうがいい。
 たとえば、36協定の知識などは、「働き方改革関連法」が施行され、今後は絶対に必要になるものですが、多くの学生が知らずに社会に巣立つ現状がある。私も学校で教わった記憶がありません。
 国は「応援します、あなたの会社の働き方改革」という使用者側向けの宣伝ばかりで、労働者には無関心です。「権利の知識は知らせるとまずい」と思っているのでしょうか。労働組合はこれを届かせる努力をすべきでしょう。
 昨年から私は街頭で国会中継のDVDを上映する「国会パブリックビューイング」を行っています。高度プロフェッショナル制度や改正入管法が強行採決された際の、ずさんな国会審議の様子を映像で流してきました。
 この数か月は、勤労統計の不正問題についての審議の様子を流しています。足を止めて見入る人、野党の追及にうなずく人…がいて、問題に対する関心の高さを感じます。希望者にはDVDを分けており、今では全国各地に街頭上映が広がり始めています。
 国が押しつけようとする現実に私たちは、「お客様」として受け身になる必要はありません。当事者意識を持てば、現実を変えられる。まずは情報を得ることから始めようー。今後も多様なやり方でそれを訴えていきたいです。
 
 うえにしみつこ
 労働政策研究・研修機構研究員を経て、2003年から法政大学キャリアデザイン学部。共著に『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社)など。
 
【関連情報】
10代からのワークルール
これだけは知っておきたい「働くこと」の決まり
(旬報社HP)  http://www.junposha.com/book/b439082.html
 
10代からのワークルール
社会にはばたく前に! 働くときに必要な「ワークルール」がわかる(全4巻セット)
著者 上西 充子 監
出版年月日 2019/02/25
ISBN 9784845115716
Cコード 0036
判型・ページ数 B5
定価 本体11,200円+税
この本の内容
目次
中学生や高校生になれば、「どんな職業につこうかな?」とイメージを持ちはじめるころ。
アルバイトはもちろん、社会にはばたく前に、あらかじめ知っておけば必ず役立つ“働くときの決まりごと”=ワークルールをこの本で身につけましょう。
お給料や待遇で困ったとき、働き方で悩んだときなど、さまざまな事例をあげながら、Q&Aでわかりやすく紹介します。
全4巻セット
?ワークルールってなんだ?
?こんなときこそワークルール! アルバイト編
?こんなときこそワークルール! 就活・就職編
?ワークルールでつくる豊かな社会
 

この記事を書いた人