韓国 過労死OUT対策委記者会見(2019.4.1) (1) 声明

(W) 韓国では、文在寅政府が「労働時間短縮」の法改正をしましたが、経営者側の反発が強く、「弾力的勤労制」(日本の変形労働時間制に当たる)を拡大しようとしています。これに対して、労働・市民団体が強く反対しています。この4月1日に、「過労死OUT対策委員会」が記者会見をしました。日本では、裁量労働制拡大や「高プロ」導入が過労死を促進することが問題として提起されていますが、よく似た争点です。以下、記者会見文と関連資料を試訳してみました。出所は、http://nodong.org/statement/7410767(訳文責・脇田滋) 

過労死助長する弾力勤労制拡大改悪反対

過労死OUT対策委記者会見
-弾力勤労制拡大反対の意思声明発表
-過労死遺族発言及び現場証言
 
■日 時 : 2019年4月2日(火)午前9時30分
■場 所 : 国会前
■主 催 : 過労死OUT共同対策委員会
全国民主労働組合総連盟(公共運輸労組、金属労組、言論労組、サービス連盟、法律院)、過労死予防センター、健康権実現のための保健医療団体連合、健康な労働世界、労働健康連帯、労働時間センター、労働人権実現のための労務士会、労働者連帯、労働者の未来、大韓仏教曹渓宗労働委員会、民主社会のための弁護士の集い労働委員会、パンオルリム、社会進歩連帯(労働者運動研究所)、安全社会市民ネットワーク、蔚山産災追放運動連合、人道主義実践医師協議会、仕事と健康、全国学生行進、集配労組、参与連帯、天主教労働司牧、韓国労働安全保健研究所、韓国進歩連帯
 
■記者会見プログラム
-開会の言葉 パク・ソグゥン 過労死OUT対策委共同代表
-弾力勤労制拡大改悪と労働者健康権問題
-過労死助長弾力勤労制拡大反対の意思声明 チェ・ミン職業環境医学医師 (韓国労働安全保健研究所)
-弾力勤労制導入建設現場の問題 ホン・スングァン(建設産業連盟委員長職務代行)
-労働時間特例廃止事業場弾力勤労制導入 チェ・スンムク(公共輸送集配労組委員長)
-過労死遺族発言 チャン・ヒャンミ(STユニトス デザイナー遺族)
-過労死遺族発言 イ・ハンソル (故イ・ハンビッPD遺族)
-記者会見文朗読
 
 
[記者会見文]
 
財閥大企業から請負った立法で過労死を合法化する
弾力勤労制拡大改悪に反対する
  
2017年過労死で死んでいった労働者が354人で、過去12年間、産災と認定された過労死だけで4千428人、毎年370人である。教師、公務員、特殊雇用労働者の過労死と過労自殺は産災統計さえない。これ以上、どれほど多くの労働者が死ぬほど働いて結局、死んでいかねばならないのか? 週52時間制無力化のための財閥大企業の請負立法である弾力勤労制拡大改悪法案審議を直ちに中断して法案を廃棄せよ
 
数多くの国際研究で明らかになったように、12時間労働は事故危険が2倍に増加し、11時間労働は心筋梗塞が3倍、糖尿病は4倍増加させて、週当たり55時間以上労働は、うつ病と不安障害が最大2.6倍まで増加する。 韓国勤労環境実態調査でも10時間以上の労働が週2回続けば憂鬱、または、不安障害が2.7倍増加することがあきらかになった。 すでにその危険が認められて、週当たり60時間である過労死産災認定基準も不規則、夜間労働がある場合には週当たり52時間である。
 
政府と国会は弾力勤労制拡大を推進して<連続休息11時間制度>導入を云々し、健康権保護対策を用意したかのように糊塗している。しかし、韓国の制度は1日労働時間上限を10時間、11時間などと定めて実施するドイツ、フランス、日本の<連続休息時間制度>とは全く違う。 何らの労働時間上限なしに2泊3日や3泊4日で20時間以上の労働を可能にしていて、人材補充のない、画に描いた餅として現場で無視されている
 
弾力勤労制は、週当たり64時間以上最長80時間までの長時間労働だけでなく、休日なしの連続労働も、一日20時間以上の連続勤労と24時間労働で労働者を絞り取る圧縮労働も許容する。 ネットマーブルとSTユニタスのようにゲーム業界とIT業界ではいわゆる「クランチモード」、「デッドライン」業務の締切り圧迫に苦しめられたり、特定時期に長時間労働して圧縮労働に苦しめられ、過労死や過労自殺をすることもあった。 故イ・ハンビッPDの死で実態が明らかになった映画放送分野も、年平均週当たり労働時間は50時間未満だが製作期間中、一日平均労働時間は19時間を超える。 労働時間特例廃止で睡眠も少しはとれるだろうと期待した映画放送市場では無差別に弾力勤労制契約書が横行している。 連続的な集配労働者の過労死で労働時間特例が廃止されたが、現場では弾力勤労制導入で抜け道を働かせて長時間労働が相変らず持続している。 今政府と国会が推進するのは、過労死、過労自殺へ追い立てる残酷な労働を、6ヶ月から1年まで許容するということであり、過労死合法化の道をさらに広く開いていくものである。そうでないというなら、いったい何なのか?
 
毎年600人の産災死亡が繰り返される建設現場は、過去10年間、脳心疾患産災申請だけで800人に達し、2017年にも30人余りが過労死で産災認定された。過労死産災申請の上位企業のうち13社がGS、サムソン、現代、ロッテ、SKをはじめとする財閥建設会社である。現場では週52時間適用の建設企業現場管理職労働者たちに勤労者代表の同意なく弾力勤労制を導入し、造船、化学産業団地の大整備工事を云々して弾力勤労制拡大1年を主張している。弾力勤労制拡大は、包括賃金制廃止、労働時間特例制度と実質労働時間短縮を無力化するための明白に財閥から請負った立法に過ぎない。
 
もうこれ以上、過労で死んで、自殺を決心する苦痛と惨劇が持続してはいけない。 これ以上人材補充なしに、ひたすら長時間労働維持にだけ血眼になっている財閥大企業と公企業の殺人行為が容認されてはならない。 政府と国会は、過労死合法化の道を開く弾力勤労制拡大改悪議論を直ちに中断して法案を廃棄せよ
 
文在寅政府は、労働者を死へ追いやる弾力勤労時間制拡大を直ちに中断せよ
国会は、財閥請負立法弾力勤労制拡大を直ちに中断し、労働時間特例を全面廃止せよ
財閥大企業は、労働者と市民の安全を威嚇する弾力勤労制拡大直ちに中断せよ
実質労働時間短縮のための1日労働時間上限制を直ちに導入し、包括賃金制を廃止せよ
5人未満事業場に勤労基準法を全面適用し、過労死予防法を制定せよ。
 
2019年4月2日 過労死OUT共同対策委員会
全国民主労働組合総連盟(公共運輸労組、金属労組、言論労組、サービス連盟、法律院)、過労死予防センター、健康権実現をための保健医療団体連合、健康な労働世界、労働健康連帯、労働時間センター、労働人権実現のための労務士会、労働者連帯、労働者の未来、大韓仏教曹渓宗労働委員会、民主社会のための弁護士の集い労働委員会、パンオルリム、社会進歩連帯(労働者運動研究所)、安全社会市民ネットワーク、蔚山産災追放運動連合、人道主義実践医師協議会、仕事と健康、全国学生行進、集配労組、参与連帯、天主教労働司牧、韓国労働安全保健研究所、韓国進歩連帯
 
 

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