第18回 自分と向き合うことも容易ではありません

16回(前々回)の話では、労働時間の実態は単純に男女計の平均を見るだけでは分からず、性別や年齢にこだわって見る必要があると申しました。
 
試みに、総務省の2007年「就業構造基本調査」から、男性正社員・正職員に占める年齢グループ別の長時間労働者の割合を見るために表1を作成してみました。なお、これからはお読みの皆さんのご参考に表や図も利用しようと思います。
 
1 年200日以上就業している男性正社員・正職員に占める長時間
労働者の年齢別割合           (単位:歳、人、%)
 
年200日以上A
週49時間以上B
B/A
週60時間以上C
C/A
総数
22013200
9673000
43.9
4171900
19.0
  15 〜 19歳
160200
54400
34.0
19300
12.0
  20 〜 24
1300700
589300
45.3
245300
18.9
  25 〜 29
2562100
1279000
49.9
569500
22.2
  30 〜 34
3366200
1694100
50.3
770800
22.9
  35 〜 39
3334800
1668800
50.0
749100
22.5
  40 〜 44
2871300
1388700
48.4
603500
21.0
  45 〜 49
2579800
1105600
42.9
465900
18.1
  50 〜 54
2457000
892300
36.3
359100
14.6
  55 〜 59
2674300
810400
30.3
311100
11.6
  60 〜 64
706800
190400
26.9
78300
11.1
(出所)2007年「就業構造基本調査」
 
この表によれば、年間200日以上就業している男性正社員・正職員は約2200万人います。そのなかで週49時間以上働いている人は967万人で、総数の約44%を占めます。年齢グループ別に見ると、25歳から39歳ではその割合は5割にも達します。さらに週60時間以上働いている人は417万人で、総数の19%を占めます。25歳から39歳では2割を超えて、22%から23%にのぼります。
 
表には示していませんが、同じく男性正社員・正職員で年間200日以上就業している人の6割は、年間250日以上就業しています。250日以上の人に限れば、週60時間以上働いてい人は全体の25%、4人に1人に上ります。25歳から39歳では60時間以上の割合は約3割(29%)に達します。そしてその人々のちょうど半分、全体の125%は週65時間以上働いています。25歳から39歳では15%、7人に1人強は週65時間以上も働いているのです。
 
働き盛りの年齢は何歳から何歳までと決まっている訳ではありませんが、25歳から39歳までの年齢層はおそらく働き盛りと言ってよいでしょう。視点を変えればこの年齢層はまた子育て盛りでもあります。
 
「子育て盛り」という言葉がどの程度使用されているかを確かめるために、ネット検索をしてみたら、Dad-Garageというビジネスマンの子育て支援サイトに「働き盛りは、子育て盛り!もっと子どもと向き合おう〜」というタイトルがでてきました。しかし、年間250日以上働く男性正社員・正職員1363万人中で、週60時間以上働く人が341万人、4人に1人に上り、子育て世代ではその割合はもっと高いというのでは、子どもと向き合うどころか、自分と向き合うことも容易ではありません。

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