2008年12月に発表された厚生労働省の「労働組合基礎調査結果の概況」によれば、労働組合の組織率(雇用者数に占める組合員数の割合)は、前年比横ばいの18.1%でした。第2次大戦直後には5割前後あった組織率は、1983年に3割を切り、2003年には2割を切るまでになりました。それがここにきて下げ止まったということは大きな意味をもっています。2006年は18.2%でしたが、前年に比べて組合員の絶対数が増加していることを考えると、下げ止まりは3年続いていることになります。
地域別にみると、首都圏ではおおむね増加しており、埼玉県や千葉県や東京都の組織率も上昇しています。埼玉県では、増加のほとんどは非正規労働者の組合員です。同県の場合、パートタイム労働者の組合員数は3万8028人で前年より3043人増え、全組合員数に占める割合は9.9%まで上昇しています(「産経新聞」09年2月4日)。
パートタイム労働者の組織率の上昇は全国集計でも明らかです。前出の厚生労働省発表によればパートの労働組合員数は05年39万人(3.3%)、06年52万人(4.3%)、07年59万人(4.8%)、08年62万人(5.0%)とここ数年増えつづけてきました。
最近では小さいながら元気な非正規労働者のユニオンも増えています。「どんな働き方でも、どんな職業でも、誰でも一人でも入れる若者のための労働組合として注目されている「首都圏青年ユニオン」もその一つです。同ユニオンは、東京都や都内の自治体の非常勤臨時職員や第三セクターで働く職員でつくる「東京公務公共一般労働組合」のサポートを受けて、アルバイト・パート・派遣など、いわゆる「非正規労働者」の組織化に力を入れ、最近では、ワーキングプアの再出発を支援する「自立生活サポートセンター・もやい」との共同企画で「反貧困たすけあいネットワーク」にも取り組んでいます。こうして非正規労働者の組織化と連帯が広がれば、「正社員クラブ」と言われてきた労働組合は、あらゆる就業形態の労働者を包摂した「みんなのユニオン」に脱皮していくでしょう。
非正規労働者の賃金・労働条件の改善と組織化のために、連合は、2007年10月、「非正規労働センター」を設置しました。全労連は、2008年7月、「非正規雇用労働者全国センター」を発足させました。こうした動きも派遣を含む非正規労働者の組織化につながる可能性があります。実際においても、大規模な非正規りが続くなかで各地で非正規労働者の組合が結成されていることが伝えられています。こういう流れが広がっていけば、正社員中心の既存の労働組合も元気になってくるものと期待されます。