この連続講座を開始したのは、昨年(2008年)の連休明けの5月12日でした。それからほぼ1年、「働き方」をテーマにおよそ週1回の割で掲載してきました。10日前後間が空いたときも何度かありましたが、12月に9回にわたって2008年恐慌について集中講義をおこなったこともあって、前回までで全52回の講義となりました。全講の延べアクセス数は現在までに1万9314件に上っています。
ほとんど無計画に始めたために、「働き方」をめぐるすべての問題を取り上げたとはいえなせん。第31回の講義では、「過労死110番のスタートから20年」について書き、「次回からは過労死がなぜなくならないのかを考えてみたいと思います」といいながら、結局、過労死については2回しか割けませんでした。その代わり、新刊の拙著『貧困化するホワイトカラー』(ちくま書房、5月10日発売)の第3章「このままでは仕事に殺される」に過労死のことを詳述しましたので、それをご参照ください。
年次有給休暇(年休)については、第9回「夏だ、バカンスだ、といえないのが悲しい」に少し書いただけで終わっています。それを補うために、本ブログの「情報資料室」に、オンライン旅行会社「Expedia」の日本向けサイト「エクスペディアジャパン」が発表した年休の国際比較調査の結果を示しておきましたが、それを見ると日本は先進国では休暇の最貧国であることがわかります。
かくいう私もこの連休は「株主資本主義と派遣切り」をテーマに雑誌論文を書かざるをえない羽目になり、短い旅行もできそうにありません。ちなみに、近年の日本ではアメリカ流の株主資本主義(配当と株価優先の企業経営)が強まり、大企業はコスト削減のために人減らしや非正規労働者の利用に走り、労働者の賃金や福利厚生の切り下げを進めてきました。こうした株主資本主義と働き方の変容の関係についても、この講義では取り上げることができませんでした。
いろいろと課題は残っていますが、開始から1年が経ったところでひとまずこの連続講義を終了することにします。連休明けからは現在空白の「オピニオン」蘭を借りて新しいシリーズを再開します。それではまた。