厚生労働省が7月31日に発表した6月の有効求人倍率(季節調整値)は0.43倍と、前月と比べ0.01ポイント低下し、過去最低を更新しました。また同日、総務省が発表した6月の「労働力調査」の完全失業率は5.4%と、前月と比べ0.2ポイント悪化し、年率に直せば過去最悪の2002年に並びました。
同じく「労働力調査」によれば昨年10月に264万人だった完全失業者は今年6月には356万人になっています。これを額面どおりにとれば、昨年秋以来の恐慌で92万人の雇用が失われたように見えます。
しかし、前にも書きましたが、完全失業者というのは調査期間の1週間に1時間も働かず、求職活動をしているかその結果待ちの労働者に限られます。1時間でも働いた人は含まれません。職探しをあきらめた人は、失業者ではなく、就職前の子どもや退職した老人と同様に非労働力人口とみなされます。半失業者や、職探しをあきらめた就業希望者を含めれば、失業者は完全失業者の2〜3倍に達すると推測されます。
参考までに「労働力調査」で雇用者総数の変化をみれば、昨年10月の5530万人から、今年6月には5413万人になって117万人減っています(いずれも季節調整済みの数字、以下同様)。うち男性は3222万人から3126万人に96万人減少しています。女性は2309万人から2287万人に22万人減少しています。
恐慌による非正規切りで大量の女性パートが失業させられました。にもかかわらず、この間の雇用者数の減少では女性のほうが少ないのはなぜでしょうか。
その理由は非労働力人口の変動から説明できます。昨年10月から今年6月までの間に、非労働力人口は4437万人から4461万人に24万人増えています。性別では男性が1469万人から1508万人に39万人増えているのに対して、女性はなんと2968万人から2953万人に15万人減っているのです。このことは女性ではこの間に労働力人口に仲間入りをした人が増えたことを意味します。このすべてとはいいませんが、多くはパートとして働くようになったと考えられます。
つまり、これまで主にパートで働いていた女性で失業した人も多いけれど、これまで働いていなかった女性で主にパートで働きはじめた人も多いということです。夫が失業するか夫の収入が減るかして、女性が働きはじめるという事情は、不況下のありうる生活防衛としてよく理解できます。