5月25日(金)から28日(月)まで、鰺坂真・大阪革新懇代表世話人を団長とする訪問団の一員としてソウルに行ってきました。総勢20名(うち11名は女性)のなかには、私を含む6人の「働き方ネット大阪」事務局のメンバーもいました。
今回のソウルツアーの発端になったのは、本ブログ講座第106回の「ソウル市長の朴元淳さん、日本から応援しています」という拙文でした。これを見て朴ソウル新市長との面識が可能かもしれないと思った大阪革新懇事務局長(働き方ネット大阪副会長)の服部信一郎さんが、大阪革新懇や大阪自治体問題研究所の諸氏を誘い、ソウル市の国際協力課と連絡を取り合って、本決まりになった次第です。
後日、詳細な報告集が作成されるはずなのでここでは概要と印象だけを述べます。
全体にたいへん学ぶところの多い刺激的なツアーでしたが、最大の収穫は朴市長に面談し、新しいまちづくりについての市長の抱負を直に伺うことができたことです。市長室のテーブルの席は、市長と8名の訪問団と2人の通訳(市側および訪問団)がようやく座れるほどのスペースでしたが、市長は着席する前に右側の最前列の特別に立派な椅子を指して、「市民が市長です。私はここを市民市長の席と呼んでいます」と日本語でにこやかに言われました。日本語は、11年前に数ヶ月日本に滞在したときに一から覚えたのだそうです。
その後の話は韓国語でしたが、とくに印象に残ったのは、「これからは環境と福祉と住民参加のまちづくりの時代で、経済成長を追求して高いビルを建設していく時代は終わった」「公務員の人員や賃金をカットして士気をくじいては市政改革はうまくいかない」と語っていたことです。
まちづくりに関しては、「ソウル市内の600年前の城郭を修復し、世界遺産にしたい」「25の全行政区ごとに住民参加の独自のコミュニティを復興するプロジェクトに取り組みたい」とも語っていました。
これは市長面談の前に行われたソウル市人事課との懇談の場でお聞きしたことですが、市長は現業を中心とする市職員の非正規雇用問題にも果敢に取り組み、今年3月の発表で5月1日から、市関係の非正規職員の4割近い1054人を正規職員に転換しました。
2日目は「韓国非正規労働センター」および「福祉国家ソサイエティ」と懇談しました。非正規労働センターで聞いた話のなかには、昨年の春から秋にかけて、プサンの韓進重工業造船所の女性溶接工キム・ジンスクさんが、整理解雇に反対してクレーン上に籠城し、それを支援する「希望バス」に全国から5次にわたり1万数千人が参加し、勝利の後押しをしたという感動的なドラマもありました。
福祉国家ソサイエティは、80名前後の学者を擁する社会政策のシンクタンクです。こことの懇談で伺った韓国の社会保障と福祉システムの話はきわめて濃密なもので、韓国の政治経済の困難ととともに、朴ソウル市長を誕生させた社会運動の理論的基盤の奥深さを実感させられました。
平和の碑、女性人権センター、浅川巧ゆかりの地への訪問もそれぞれ強く記憶に刻まれました。これらを含め、実に収穫の多い3泊4日の旅でした。
いちいちお名前は記しませんが、通訳、案内、説明などでお世話になった方々に心よりお礼を申し上げます。