第283回 学生の「アルバイトユニオン」の結成を歓迎し、応援します

まだ端緒的とはいえ、最近は全国各地の大学で学生による「アルバイト・ユニオン」の結成が伝えられています。長時間労働、賃金不払い、交通費の不支給、シフトの一方的変更、試験期の就労強制、セクハラ・パワハラなど、ブラックバイトの酷い働かせ方に関する報道も増えています。労働基準法などの働くルールを知らない学生が多いことも問題になっています。

総務省の「労働力調査」によって15歳から24歳の若年層の雇用の推移を見ると、近年ではパート・アルバイト・派遣などの非正規労働者が全労働者の50%を超えています。昔から若者の非正規比率は高かったと思われがちですが、1980年代後半の同じ年齢層の非正規比率は17%前後で、他の年齢層よりむしろ低いくらいでした。

若年層の非正規比率の異常なまでの上昇の背景には、高校生や大学生のアルバイト従事者の増加があり、またサービス業や流通業を中心とするアルバイト依存産業の膨張があります。最近の「労働力調査」(詳細集計)で見ると、高校・短大・大学・大学院などに在学中の非正規労働者は約130万人を数えます。その大部分はアルバイトです。

今では学生アルバイトは労働時間も就業期間も長くなり、産業や業種によっては基幹的労働力になっています。最近では、女性パートタイム労働者が基幹労働力の有力な部隊として以前にもましてハードワークを強いられるようになってきました。労働者が過労とストレスでうつ病になり休職や退職を余儀なくされるケースは、正社員だけでなく、パートの間にも拡がっています。学生アルバイトといえどもその例外ではありません。警察庁の自殺統計によると、就活自殺が深刻な問題になっていた2011年には「勤務問題」のなかの「仕事疲れ」による大学生の自殺が4件もありました。これは「アルバイト過労死」を意味していると考えられます。

アルバイト学生のなかにはいわゆる主婦パート並みに1日数時間働いている人も少なくありません。今日では学生も低賃金労働者の一翼を構成しています。であれば、バイトユニオンが広がって当然です。その意味でいよいよ労働組合の出番です。正社員も非正社員もユニオンで闘ってこそ労働条件を改善することができます。

私は1年前に教職を退きましたが、学生がブラックバイトに対して声を上げ始めたことを歓迎し応援しています。全国の心ある大学教員のみなさん、ユニオンを結成して立ち上がった学生たちを物心両面で支援してください。

この記事を書いた人