代表的学術機関であり「学者の国会」と言われる日本学術会議は、このたび「労働・雇用と安全衛生に関わるシステムの再構築を――働く人の健康で安寧な生活を確保するために」という提言文書を発表しました。
学術会議が働く人の健康・安全問題について提言を発表するのは、産業安全衛生に関する研究の拡充を求めた1965年の勧告と、労働衛生の推進についての1980年の要望以来です。今回の提言は、「労働雇用環境と働く人の生活・健康・安全委員会」が2年近くの議論をもとにとりまとめたもので、発表された文書には、「国は、過重労働対策基本法を制定し、過重労働対策の基本を定め、過重労働に起因する労働者の健康被害の実態を把握し、過労死・過労自殺等の防止を図る」などの課題が盛り込まれています。
学術会議は、内閣総理大臣の所轄の下で、政府から独立して「政府に対する政策提言」を行う使命を持っています。したがって、提言に盛られた事項については、今後、政府の関係機関で検討され、具体化に向けた取り組みがなされるものと期待されます。
<主な提言項目>
? 過重労働と過労死・過労自殺を防止するための法的な整備を行う
? 非正規雇用労働者の待遇改善に向けて法制度を整備する
? すべての就業者に安全衛生に関する法律・制度を適用する体制を強化する
? 職場の危険有害環境を改善するために法制度の整備を図る
? 中小零細企業での労働安全衛生向上のための諸施策を充実させる
? メンタルヘルス対策のために有効な施策やプログラムの立案・普及を図る
? 産業保健専門職による質の高い産業保健サービスを実施するための法制度を確立する
? 安全衛生に関する研究・調査体制の充実を図る
提言の全文は、こちらに出ています。