連合、「残業代ゼロ」と「残業規制」の法案一本化反対へ

 連合の神津里季生(こうづ・りきお)会長は7日、専門職で年収の高い人を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」について、残業時間の罰則付き上限規制を盛り込んだ労働基準法改正案と一本化して今秋の臨時国会に提出する政府の方針に反対し、別々の法案として審議するよう求める考えを明らかにした。
 10月に任期満了を迎える神津氏は会長留任が内定したばかり。同日午前に民進党の蓮舫代表と会談した後、記者団に対し「方向が全く違う二つの内容を一本にする必要がないというのが連合の基本的な考え方だ。高プロと裁量労働制拡大は必要がないという考え方を労働政策審議会の中で主張していく」と明言した。
 高プロを含む労基法改正案は、野党や連合などが「長時間労働を助長する」と反発し、2015年4月に国会に提出されてから一度も審議されていない。政府は高プロの導入、裁量労働制の拡大と、残業時間の上限規制をひとまとめにした労基法改正案の要綱を厚生労働省の労政審に示したうえで、改正案を臨時国会に再提出する方針だ。
 一方、高プロを「残業代ゼロ法案」と批判してきた連合は、条件付きで容認する方針への転換を巡って混乱し、従来の反対に立場を戻している。神津氏は法案提出後の国会対応について、高プロに反対する民進党と「しっかり連携を密にしていきたい。(国会対応での方針を)お互いに確認した」とも述べた。
 連合は、高プロの条件付き容認に転じた理由について、法案の一本化が避けられないとの情勢認識に基づいて、少しでも修正して実を得るためと説明してきた。神津氏の発言はこうした認識を改めるもので、高プロを巡る与野党の対立が今後激しくなりそうだ。

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