第346回 書評 熊谷徹『5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人』SB新書、800円+税

「しんぶん赤旗「」 2018年2月18日

                  年の4割は休日、背景に闘う労組

日独の働き方を比較する上で欠かせない一書である。

著者は28年間ドイツで働いている。その前はNHK記者として8年間日本で働いていた。両国での体験に裏打ちされた考察であるだけに具体的で説得力に富む。

ドイツでは、1日10時間超えて働くことは法律で禁止されている。6ヵ月間の平均では1日8時間を超えてはならない。国による監督も罰則も日本よりはるかに厳しい。その結果、管理職でなければ残業はほとんどない。

またドイツでは、大半の労働者が年間30日の有給休暇を100%消化している。これに12日の祝日と土日を加えると、1年の4割、約150日は休んでいることになる。

ドイツには日本語の「頑張る」に当たる言葉がない。日本でいう「お客様は神様」の過剰なサービスもない。

にもかかわらず、ドイツの経済は好調で、労働者1人当たりの労働生産性は日本を5割近く上回っている。

片や日本の政府は、電通の高橋まつりさんの過労自殺事件が公表された頃から、声高に「時間外労働の上限規制」を言い始めた。しかし、1日や1週の上限はなく、特別な事情があれば月100時間未満の残業なら認めるという。甘すぎて過労死防止にもならない。労働組合でありながらこの案に合意した連合の姿勢もまた甘い。この背景にはストライキが増えるドイツと激減する日本の違いがある。この違いは脱原発を法制化したドイツと原発再稼働に走る日本との違いにも通じている。

この国で過労死をなくし、8時間働けば普通に暮らせる社会を実現するためにも、本書をお勧めする。

 

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