失業したときに役立つ、ハローワークの上手な利用方法って? (3/28)

失業したときに役立つ、ハローワークの上手な利用方法って?
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2020/03/28(土) 10:40配信 ファイナンシャルフィールド

失業したときに役立つ、ハローワークの上手な利用方法って?

最近では、転職や早期退職に伴って、若くして失業を経験される方が少なくありません。そして、失業中の生活を支える制度が、雇用保険の基本手当、いわゆる失業手当です。

今回は、失業中に利用できる雇用保険の制度について解説し、ハローワークの上手な利用法について紹介します。

そもそも基本手当とは何ですか?
労働者の生活および雇用の安定と就職の促進を目的とした、雇用保険制度の中心的な給付が、一般被保険者に対する求職者給付です。

そして、離職した雇用保険の被保険者が、失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探し、一日も早く再就職するために支給される給付が、失業手当といわれる「基本手当」です。

なお、離職の理由が、倒産・解雇などによる場合は「特定受給資格者」、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことや、その他やむを得ない理由により離職した場合は「特定理由離職者」として、一般の離職者に比べて優遇されることもあります(※1)。

基本手当を受給することができる要件は?
雇用保険の基本手当を受給するためには、雇用保険の被保険者が離職して、次の2項目のいずれにも当てはまることが求められます(※2)。

1.失業状態にあること。
なお、「失業状態にある」とは、次の全ての条件を満たす場合をいいます(※3)。
「・積極的に就職しようとする意思があること。
・いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること。
・積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと。」

したがって、妊娠、出産、育児や病気、けがですぐに就職できない場合や、就職するつもりがない、家事に専念、学業に専念しようとしている場合、自営業者などは受給資格がありません。

2.離職の日以前2年間に、被保険者期間(注)が通算して12ヶ月以上あること。
ただし、特定受給者および特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上であること。

(注)被保険者期間とは、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1ヶ月ごとに区切った期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1ヶ月と計算します。

基本手当を受給するための手続き方法は?
基本手当の受給手続きは、以下の書類を持参して、お住まいを管轄するハローワークに赴くことから始まります。なお、持参する書類のうち(1)と(2)は、離職前の賃金支払い状況や離職理由など等が記載されており、勤務していた会社などから交付されます(※2)。

(1)離職票-1
(2)離職票-2
(3)個人番号確認書類(いずれか1通)
マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票

(4)身元確認書類(【1】のうちいずれか1種類 【1】の書類がない場合は、【2】のうち異なる2種類 ※コピー不可)
【1】以下の書類のいずれか1種類
運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
【2】以下の異なる2種類
イ 公的医療保険の被保険者証(国民健康保険被保険者証、健康保険被保険者証など)
ロ 年金手帳
ハ 児童扶養手当証書または特別児童扶養手当証書
二 印鑑登録証明書、公共料金の領収書、写真のない住民基本台帳カードなどのうちいずれか1つ

(5)写真2枚(最近の写真、正面上半身、タテ3.0cm×ヨコ2.5cm)
(6)印鑑(認印可、スタンプ印不可)
(7)個人名義の通帳またはキャッシュカード

その後の流れは、【図1】のとおりとなり、4週間ごとに示される認定日にハローワークを訪れ、「失業認定申告書」を提出して失業の認定を受けることが必要です。

図1
【図1】

基本手当の受給期間と支給額は?
基本手当を受けることのできる日数(所定給付日数)は、90日〜360日の間となっており、離職した日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間および離職の理由などによって決められます。一般の受給資格者(定年・自己都合などによる離職)の所定給付日数は、【図2】のとおりになっています(※2)。

【図2】

図2
なお、障害者などの就職困難者、特定受給資格者および一部の特定理由離職者は、一般の離職者に比べて給付日数が優遇されます。

また、基本手当の日額は、原則として離職前6ヶ月の賃金を平均した1日分の45%〜80%の額となりますが、下限額と年齢区分に応じた上限額(※4)が定められています。

失業中に公共職業訓練等を受講するとさまざまな優遇制度がある!
雇用保険の基本手当を受給している方が、ハローワークの指示に従って公共職業訓練等(※45)を受講すると、受講している間は基本手当に加えて技能習得手当が支給されます。

技能習得手当には、日額500円の受講手当と交通費に相当する通所手当があります。さらに、公共職業訓練を受けるために家族と別居する必要がある場合は、寄宿手当も支給されます(※1)。

また、基本手当の受給を終了した方や、雇用保険を受給できない方を対象とした求職者支援訓練制度があり、無料で職業訓練を受けることができます。さらに、この制度では、本人の収入など一定の要件を満たす場合は、職業訓練受講給付金と通所手当や寄宿手当も支給されます(※5)。

まとめ
失業中の生活を支える基本手当を受給するためには、まず、ハローワークにおもむいて求職の申し込みをすることから始まります。

そして、就職が有利になるように、ハローワークが勧める公共職業訓練等を受講することによって、技術習得手当や職業訓練受講給付金も受給できますので、求職中の方は活用を検討されてみてはいかがでしょうか。

[引用・出典]
(※1)ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
(※2)ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
(※3)厚生労働省「雇用保険制度 Q&A〜労働者の皆様へ〜」
(※4)厚生労働省「 雇用保険の基本手当日額が変更になります」
(※5)厚生労働省「 ハロートレーニング」

執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表

CFP(R)認定者、社会保険労務士
 

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