企業の悪知恵 すり替え年休 佐々木亮弁護士
https://mainichi.jp/articles/20200217/ddm/013/040/032000c
毎日新聞2020年2月17日 東京朝刊
〔写真〕年次有給休暇の「すり替え取得」に注意を呼びかける佐々木亮弁護士=東京都千代田区で
働き方改革の一環で、働く人に最低でも年5日の年次有給休暇(年休)を取得させることが、昨年4月から企業に義務づけられた。ただ、これまで休日や休暇だった日を年休にされてしまう「すり替え」には要注意のようだ。
年5日の義務化
「ゴールデンウイークと夏休みは公休(会社が労働を免除した休日)だったのに、今年度から年休を充てることになった」「祝日は全て休みだったのに、8日間を出勤日にされた。夏季休暇も1日減らされた」。労働組合の中央組織である連合には、年休の取得義務化に伴う相談が相次いで寄せられている。2018年度までは年800件程度だったのが、19年は1100件以上あった。
年休は、同じ会社で6カ月間働き、そのうち8割以上出勤した人に10日間与えられる労働基準法上の権利だ。勤続年数が延びるのに伴い、付与される日数が増える。パート勤務など労働日数が週4日以下でも、6カ月間働き続けると1〜7日が付与される。