仏最高裁、ウーバーと運転手の雇用関係認める ヨーロッパ 北米 シェアエコノミー (3/6)

「ウーバー社と運転手は雇用関係」 使い捨て是正迫る判決 フランス最高裁
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-03-06/2020030607_01_1.html
しんぶん赤旗 2020年3月6日(金)

 【ベルリン=伊藤寿庸】フランスの行政訴訟の最高裁である破棄院は4日、ウーバー社のアプリを通じてタクシーサービスを提供する運転手は、同社と雇用関係にあるとの判断を示しました。これにより同社はより多くの税や社会保険料の負担、運転手に対する有給休暇や病休手当などを保障する義務が生じることになります。

 「プラットフォーム労働」などの名前で世界中に拡大している無権利・使い捨ての働き方へ是正を迫る判決です。独立組合全国連合(UNSA)のトリシャール書記次長は「プラットフォーム労働者の社会的保護を前進させる歴史的判決だ」と歓迎しました。
裁判は、2017年6月に、ウーバー社のアプリから遮断された運転手が、雇用契約の認定と、休日手当や退職金の支払いを求めて起こしたもの。昨年1月、パリ控訴院(高裁)が、ウーバー社と運転手の雇用関係を認定し、同社が上告していました。
破棄院の判決は、運転手が自営の「フリーランス」だとする同社の主張は「架空」なものにすぎないと指摘。運転手は、「ウーバー社が一方的に条件を決定する組織的な運送サービスに参加」しており、アプリに接続することで、「運転手と会社との間に従属的関係が確立される」としました。
その理由として、運転手は、自分で顧客を選んだり、価格や経路など輸送条件を自由に決定したりしていないこと、3度の運送拒否でアプリから遮断される可能性があることなどを挙げています。


仏最高裁、ウーバーと運転手の雇用関係認める ヨーロッパ 北米 シェアエコノミー
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56464250W0A300C2000000/
日経新聞 2020/3/6 6:07

【パリ=白石透冴】フランス最高裁(破棄院)は4日、米ウーバーテクノロジーズと同社の運転手に雇用関係があるとの判断を下した。ウーバー側の運転手が自由に働き雇用関係は無いとする主張を退けた。運転手の保護につながる一方、同社の負担増となる可能性がある。世界で広がる同様のビジネスモデルにも影響を与えそうだ。

〔写真〕仏最高裁はウーバーと運転手の間の雇用関係を認めた=ロイター

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、最高裁の判断は世界初とみられる。同社は上訴できない。

最高裁は「運転手は独自の顧客を持っておらず、運賃を自由に決められない」などの理由で雇用関係を認めた。運転手が2017年、「ウーバーが自分のアカウントを使えなくしたのは不当」などとして訴えていた。

フランスにはウーバーをはじめとするライドシェアサービスの運転手が約3万人いるが、今回の判断でただちに雇用関係が発生するわけではない。ただ個々の運転手が雇用関係を求めた時に、社会保障費などで事業者の負担が増える可能性がある。運賃の上昇につながるシナリオも考えられる。

同社のような業態は運転手の自由度が高い半面、社会保障などが十分でないとの指摘がなされている。米国でもこれまでに運転手の地位などを巡り、訴えが起きている。 

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