これが正しいキレ方だ…パワハラと闘う会社員描く「アリ地獄天国」 監督の思いとは (3/15)

これが正しいキレ方だ…パワハラと闘う会社員描く「アリ地獄天国」 監督の思いとは
https://mainichi.jp/articles/20200314/k00/00m/040/130000c
毎日新聞2020年3月15日 13時00分(最終更新 3月15日 13時00分) 中川聡子

映画の編集作業にあたる土屋トカチ監督。他の映像作家と、映画・映像製作にあたる共同事務所「ローポジション」を運営している=横浜市中区で2019年12月26日、中川聡子撮影
「誰に向かって言うとんじゃ、ごらあ!」。上司の怒号が飛ぶ。厳しいノルマに長時間労働、事故や破損を起こせば借金強要……。大手引っ越し会社のすさまじいパワハラの実態と、会社を訴えた社員の闘いを描くドキュメンタリー映画「アリ地獄天国」が3月21日から大阪で、4月4日から横浜で上映される。「もう二度と、仕事で死ぬ人を見たくない」と訴える土屋トカチ監督(49)。製作の背景には、かけがえのない親友の死があった。【中川聡子/統合デジタル取材センター】

 土屋監督は労働問題を扱った数多くの作品を手がけ、今作は昨年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で初公開され、大きな反響を呼んだ。主人公は、大手引っ越し会社「アリさんマークの引越社」に勤めていた34歳の「シュレッダー係」、西村有(あり)さん(仮名)だ。

 2015年、営業職としてトップの成績を収めていたが、営業車で衝突事故を起こし、会社から48万円の借用書にサインするよう迫られる。週刊誌記事で知った個人加盟の労働組合「プレカリアートユニオン」に相談すると、「払う必要ない」という答え。会社の労働環境に違法性があることを知り「雷が落ちたような衝撃」を受ける。まさに一匹の「アリ」に過ぎない西村さんが、労組と手を携え、会社という「地獄」に闘いを挑んでいく…
 

この記事を書いた人