2 提言2について
(1)医療、介護、福祉、教育など、感染の危険がある対人サービスに従事する人の安全、健康維持を守るための特別な措置の必要性
これら分野で働く人々は、感染の危険に露出される仕事を担当しており、実際に感染した人も出ています。もし、これらの業務に従事する人に感染が広がれば、中国や欧州諸国のように、医療、介護、福祉、教育そのものが崩壊する非常事態になりかねません。
また、これら分野は、平時でも人手不足のために、長時間労働など過酷
な労働条件で働いており、過労死の事例も問題になっています。今回の新型コロナウイルス感染症対応のために一層、長時間労働を強いられ、危険と過労に苦しむことになっています。これら分野の労働者支援が必要です。そのためには、大胆な財政支出に基づいて人員を大幅に増やして過労で倒れる人が出ないようにする必要があります。
【アンケートの声】
○介護職の契約社員。マスク、消毒液の不足。職員不足。職員不足は慢性的だが、感染症対策で職場は緊張感が高まっている。(栃木県、40代、男性、№150)
○医療・福祉現場で調理を担当する契約社員。消毒や衛生管理等、業務の増加。感染防護はとても十分に行えず、絶望的に運任せ(東京都、40代、男性、№153)
○医療現場で医療機材などの仕訳を担当。医療機関は今回の事象により、より一層の院内の消毒や感染対策などの負荷が増え、医療用マスク、消毒用品などの入荷遅延、在庫不足などに不安が生じている。(千葉県、60代、男性、№189)
○高齢者介護施設で生活援助を行う派遣社員。休校措置や体調不良で働けなくなった職員の分、一日の勤務内容の負担が重くなった。(東京都、50代、男性、№225)
(2)感染防止措置などの安全確保措置を行うに当たって、非正規雇用の労働者について、正規雇用の労働者との間に不合理な待遇差を設けることがないよう厳しく規制する必要性
使用者は、当然のことながら、正規雇用に対してのみならず、非正規雇用の労働者に対しても、その生命・身体等の安全を確保しながら労務を提供できるよう配慮する義務を負っています。
しかし、現在、通勤中の感染を防ぐためのテレワークへの移行措置について正規雇用の労働者のみを対象に行うなど、感染防止措置などの安全確保措置を行うに当たって、正規雇用・非正規雇用で労働者間に不合理な差を設ける企業が見受けられます。
このような差別的な措置は、非正規雇用の労働者の生命・身体の安全を危険にさらすものであり、これを厳しく規制する必要があります。
【アンケートの声】
○小売業でOA事務を行う派遣社員。社員のみリモート、派遣は通常出勤。毎日感染リスクのある満員電車で通い、精神的な疲労感はあります。80代の両親と同居なので。(東京都、40代、女性、№182)
○営業事務を行う派遣社員。時差出勤にしても、自宅勤務にしても、派遣は対象外。(東京都、40代、女性、№193)
○物流管理を担当する派遣社員。正社員のみテレワーク。派遣は対象外。派遣のみ出勤してる部署あり。雇用形態で差別。(東京都、50代、女性、№199)
3 提言3について
上記で述べた様々な措置をとり、働く人の雇用と仕事、その安全を確保するためには、まずはこれらの人々の実態を把握する必要があります。
当全国会議が行うアンケートや他の民間のアンケートでは、その規模や方法で大きな限界があります。
したがって、政府が先頭にたって、最も深刻な被害を受ける非正規雇用労働者やフリーランスなどを対象に、本格的な実態調査を行い、その実態を把握する必要があります。
以上