新型コロナウイルスの影響により、イベントがキャンセルになった、取引先との取引が中止になった、緊急事態宣言の自粛要請で休業せざるを得なくなったなどの事情により、売上げがなくなり、このまま続けば、明日の生活もどうなることか不安に思われている個人事業主・フリーランスの方々も多いと思います。
ここでは、個人事業主・フリーランスの方々が利用可能な制度や法律をご紹介していきますので、少しでもご参考になれば幸いです(4月15日時点の情報を掲載していますので、ご注意ください。また詳細を全て記載することはできませんので、詳しくはURLからご確認いただきますようお願いします。)。
●名ばかりフリーランスの方々へ
1 労働者性
ご自身が「労働者」に当たらないかご確認ください。
個人事業主・フリーランスとして特定の会社に所属している方や特定の会社とのみ取引をされている方は、ご自身が労働基準法上の「労働者」(労働基準法9条)に当たらないかを確認する必要があります。
実質的に使用者の指揮監督下で労務提供がなされていると評価できる場合には「労働者」に該当します。
労働者性を判断する際には、
・仕事の依頼を断ることができないか、
・業務の内容が会社の指示命令に従っているか、
・勤務場所や勤務時間が指定、管理されているか
・本人に代わって他の者に代替することが認められていないか
・機械・器具等が会社から用意されているか
などを総合的に検討して判断することになります。
2 賃金請求権・休業手当
「労働者」に当たる場合、賃金請求権や休業手当の制度があります。
コロナ労働相談「賃金・休業手当」をご覧ください。
●フリーランス・個人事業主の方々へ
第1 現時点で利用可能な給付金や融資等の制度
1 小学校休業等対応支援金(厚生労働省)
2020年6月30日まで、小学校等の臨時休業等に伴い、子供の世話を行うために、契約した仕事ができなくなった個人事業主の保護者に対して、就業できなかった日について1日あたり4,100円(定額)の支援金が支給されます。
支給対象、支給要件等詳しくは以下のURLでご確認下さい。
2 無利子・無担保の融資
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた一時的な業績悪化を対象に様々な無利子・無担保の融資、保証が行われています。
経済産業省が「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」と題して事業者の資金繰りに関して利用可能な制度を紹介しています。民間の信用保証付融資、政府系融資に関する詳細は以下のURLでご確認ください(4月13日版)。
3 生活福祉資金貸付制度の特例措置(社会福祉協議会)
(1)緊急小口資金(新型コロナウイルス感染症特例)
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、収入が減少した方のおられる世帯に対して10万円以内(特別な場合には20万円以内)を無利子で貸し付ける制度です。収入の減少する前と後の給与明細等、減収されたことを確認できる資料が必要となります。
詳しくは以下のURLからご確認下さい。
(2)総合支援資金【生活支援費】(新型コロナウイルス感染症特例)
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて収入減少や失業等により生活困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯に対して、生活再建までの間に必要な生活費用を貸し付ける制度です。
貸付期間は原則3カ月以内で、単身世帯には上限月15万円、複数世帯には上限月20万円以内を無利子、連帯保証人不要で貸付します。
詳しくは以下のURLからご確認下さい。
4 国民健康保険・国民年金等の保険料の減免
所得の減少や失業等により国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合に国民年金保険料の「保険料免除制度」や「保険料納付猶予制度」があります。
また、新型コロナウイルス感染症の関係では日本年金機構から以下のとおり公表されています。
① 国民年金保険料の納付が困難となった場合の免除制度 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html#cms03
② 厚生年金保険料等の納付が困難となった場合の猶予制度 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyonushi/sonota/20120330-02.files/1.pdf
5 納税の猶予
新型コロナウイルス感染症の発生に伴い予約・キャンセルが相次いだため事業を休廃止したこと等によって納税を困難とさせる事由が発生した場合には、申請に基づき徴収を猶予することができるとされています。まずは納税が困難な事情等を相談しましょう。
6 電気・ガス料金の支払猶予
経済産業省は、緊急事態宣言が発令されたことを踏まえ、電気・ガス事業者に対し、料金支払いの猶予等、柔軟な対応を行うことを要請しています。新型コロナウイルス感染症の影響により、電気・ガス料金の支払いが困難である方は、電気・ガスの契約をされている小売電気事業者・ガス小売事業者を確認の上、各事業者に料金の支払いが困難である事情を説明しましょう。
7 個人事業主・フリーランスの取引に関する配慮要請
個人事業主・フリーランスと取引を行う発注事業者に対して、新型コロナウイルスの影響を受けて変更等を行う場合にも取引上の適切な配慮をするように呼びかけています。
例えば、①契約を変更する場合にも、新たな取引条件を書面等で明確化したり、一方的に変更を行うのではなく、フリーランス・個人事業主の同意を得た上で行うこと、②できる限り従来の取引関係を継続し、優先的に発注を行うこと、③納期の延長等などできる限り柔軟な対応を行うことなどが適切な配慮の例として掲げられています。
不当な扱いを受けた場合には、下請かけこみ寺(0120-418-618)まで連絡しましょう。
第2 令和2年度補正予算の成立後に申請可能な給付金や融資
1 持続化給付金
2020年4月7日に閣議決定された「緊急経済対策」において、令和2年度補正予算案(令和2年度補正予算の成立が前提)に、個人事業主・フリーランスに対する「持続化給付金」を盛り込みました。
「持続化給付金」では、新型コロナウイルスの影響により売り上げが前年比(または前々年比)50%以上減少した者に対して、前年総売上と前年同月比50%減の売上との差額を(法人に対して上限200万円、個人事業者等に対しては上限100万円)支給することとなっています。
申請の受付けはまだされていません。補正予算の成立後に電子申請受付を開始する予定となっています。
詳細は経済産業省のホームページに記載されているので、以下のURLもご参照ください。
またパンフレットも公開されています。
2 生産性革命推進事業の拡充(令和2年度補正予算の成立が前提)
新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える特徴的な影響を乗り込めるために前向きな投資を行う事業者向けに「生産性革命推進事業」における各種補助事業が拡充されます。4月15日現時点の情報を掲載しています。今後制度内容が変更される予定もありますので、最新の情報は各種URLからお確かめください。
- ものづくり補助金
ものづくり補助金総合サイト
- 持続化補助金
全国商工会連合会
日本商工会議所
- IT導入化補助金
3 住居確保給付金(令和2年4月20日施行)
住居を失うおそれのある困窮者への支援として「住居確保給付金」があります。
従来、住居確保給付金の対象から外れていたフリーランス・個人事業主も、令和2年度補正予算案が成立すれば、住居確保給付金の対象となります。
また従来は「離職・廃業後2年以内」が要件となっていましたが、今回「給与等を得る機会が当該個人の責に帰すべき理由・当該個人の都合によらないで減少し、離職や廃業と同程度の状況にある者」も住居確保給付金を受けることができるようになり、大幅な減収によって、賃料を支払うことが困難な場合にも支給されるようになります。
現在、国や自治体その他の機関から様々な支援・援助制度が発表されています。活用できるものを活用していき、この困難な状況を乗り越えていきましょう。