【参考】イタリアにおける「社会的緩衝措置」概略
失業問題に対応する複合的な制度を意味する。
日本の雇用保険とも似た点もあるが、イタリア特有の制度を含む、より包括的な制度だと言うことができます。
イタリアの全国社会保障公団(INPS)が運営する所得補償金庫は大きく
▲失業基金
▲操業短縮・中断時の所得補償金庫
▲転職基金
に区分されます。
所得補償金庫は
①一般所得補償金庫(Cassa Integrazione Guadagni Ordinaria、CIGO)
使用者に責任のない事由で経営危機に対応するため、操業短縮あるいは中止で労働時間が減った場合に賃金を保障する制度
②特別所得補償金庫(Cassa Integrazione Guadagni Straordinaria、CIGS)
企業の構造調整による転職や配置転換、企業危機などで雇用関係の停止又は労働時間短縮が行われた場合に、労働者に所得を保障する制度。
①と②のどちらの制度も賃金の80%まで保障されます。
ただし、この賃金額については上限があります。
なお、一時的な場合や、特別法によるなど(例、今回の緊急事態)の場合には、
①と②とは別に、
③特例所得補償金庫(Cassa Integrazione Guadagni in deroga)
が、導入されています。
さらに、人員削減回避目的で、労使の交渉を通じた労働時間短縮について、既存の賃金を保障する手段とする「連帯協約(Contratto Solidarietà)」があります。
また、INPSとは別の社会保障制度の適用を受ける労働者(非正規雇用や自営業形式就業者など)のために、「連帯基金(Fondo di Solidarietà)」などの制度もあります。
【参考情報】
□Ammortizzatori sociali in deroga
□厚生労働省「2010~2011年海外情勢報告」