伍賀一道(金沢大学名誉教授) 「最新の雇用・失業統計は何を示しているか」 (5/6)

 図2は新規求人数・新規求職件数の推移(季節調整値)、図3は新規求人数の対前年同月比の増減(季節調整値)を示しています。緊急事態宣言(4月7日)による休業自粛要請が本格化する前のため、新規求人倍率は2倍を超えていますが、図3のとおり3月の新規求人件数自体は1年前の19年3月時点に比べ、13万5000件も減っています。同図によれば新規求人件数の対前年同月比増減(例えば「20年3月の新規求人件数」-「19年3月の新規求人件数」)は今年1月以降、減少幅が大きくなっています。日本の景気は昨年10月の消費税率引き上げを機に後退傾向がはっきりと現れていましたが、今回のコロナ危機はそれに拍車をかけています。

図3 新規求人件数の対前年同月比増減(季節調整値)

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