1月19日、日本航空を昨年末に解雇されたパイロット74人と客室乗務員72人の146人は、解雇は「整理解雇の4要件」を満たしておらず無効だとして、原職復帰を求め、東京地裁に提訴しました。
原告団声明全文
本日、私たち146名(パイロット74名、客室乗務員72名)は、去る12月31日に日本航空が強行した165名の整理解雇は違法・不当であるとして、東京地裁に提訴しました。
私たちはこの裁判で第一に、今回の整理解雇が、これまで多くの労働者の闘いによって築き上げられてきた「整理解雇4要件」((1)高度な必要性(2)回避努力義務(3)人選基準の合理性(4)労使協議手続き)を根底から覆す無謀・非道なものであり、断じて許されない行為であることを明らかにしていきます。
第二に、日本航空再建で国民から求められているものを明確にします。現在進められている再建計画では「安全性」と「公共性」が後回しにされ、金融機関等のための利益確保が最優先で進められています。日本航空に働く者が安心して働ける職場環境の実現は、安全運航の基盤であり再建の要です。公共交通機関としての役割を果たす真の日本航空の再建を求めていきます。
第三に、日本航空が経営破綻に至った「原因と責任」を明らかにします。これまでの歪(ゆが)んだ航空行政の責任を免罪したまま、現在政府の主導で「会社更生法」下での再建が進められています。また同時に、長年に亘(わた)る日本航空の放漫経営ぶりを明らかにし、原因が労働者には一切ないことを論証していきます。労働者犠牲の再建は誤りであり、国民が期待する再建に逆行するものです。
また、今回の整理解雇の特徴は、人員削減だけを目的としたものではないことです。希望退職から整理解雇に至る経過を検証すると、職場の要求実現に向けて先頭に立って活動してきた労働組合役員を排除する意図が明瞭となっています。日本航空経営はこれまで数々の違法行為を繰り返し、そのたびに裁判所や労働委員会から断罪されてきました。経営は「過去と決別して新生JAL」を標榜(ひょうぼう)していますが、違法・不当な労務政策こそ決別すべきものです。
今回の解雇事件に対しては、航空界だけでなく全国の労働団体や女性団体などの市民団体、また法曹界などからも熱い支援の声が寄せられ、その組織人数は350万人を超えています。これに加え、国際運輸労連(ITF)や国際パイロット協会(IFALPA)からの支援も集まっています。また、国際労働機関(ILO)の調査も始まりました。
私たちは今回の裁判が、労働者の権利を守る闘いであり、同時に日本航空が公共交通機関として、「安全と公共性」を基本とした利用者に信頼される再建をめざす闘いでもあると考えています。
私たちは法廷内だけでなく、法廷外においても「不当解雇撤回・原職復帰」を目指して全力で闘う決意です。多くの皆さまのご支援とご協力をお願い申し上げます。