橋下市長、高2自殺で遺族に謝罪 「行政に責任」

日本経済新聞 2013/1/12

 大阪市立桜宮高校(同市都島区)2年の男子生徒(17)がバスケットボール部顧問の男性教諭(47)から体罰を受けた後、自殺した問題で、橋下徹市長は12日、生徒宅を初めて弔問した。両親に「命を奪ったことに釈明の余地はない。顧問や学校、教育委員会、市長として行政に百パーセント責任がある」と謝罪した。

 弔問後、喪服姿のまま記者団の取材に応じた橋下市長は「この間違った状況を正す、と生徒や遺族に誓った」と強調。両親の対応について「しっかりと謝罪の意を受け止めてくださった」と述べた。

 両親の了解を得て遺書にも目を通したといい「本人は相当追い込まれ、家族に最後の言葉をつづっている。想像するだけでも耐えられない」と声を詰まらせた。

 自殺と体罰の因果関係については「法的な関係は司法判断だが、社会常識としての因果関係はあると遺族に伝えた」と語った。

 橋下市長はこれまでに「指導中に手を上げることはあり得る」と体罰容認ともとれる発言をしていたが、この日は「認識が甘かった。反省している」と強調。「教育専門家らの意見を聞き、スポーツ指導で手を上げるのは前近代的で全く意味がないと思った」と述べ、改善策について15日に開く市教育委員らとの会合で議論する考えを示した。

 その上で「桜宮高校では、勝つためには(一定の)体罰が必要だと保護者も思っていた。異常な世界になっていたのは事実」と指摘。遺族にもこうした考えを伝えたところ「保護者の意識改革が必要であれば、市長に旗を振ってほしい」と要望されたという。

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