AFP=時事 7月4日(金)配信
【AFP=時事】ドイツ議会は3日、同国初となる全国一律の最低賃金制の導入を定めた法案を採択した。労働組合に加え、保守派のアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の中道左派の連立相手にとっての勝利と受け止められている。
8.5ユーロ(約1200円)の最低賃金は2015〜17年にかけて段階導入され、低賃金層500万人以上が恩恵を受けることになる。これで欧州連合(EU)加盟28か国のうち21か国が採用している法定最低賃金制が、EU最大の経済大国ドイツでも実施されることになった。
かつてメルケル首相は、最低賃金制を導入すれば中小企業が労働者解雇を強いられる恐れがあるとして長く否定的な態度を示しており、代わりに地域や分野に応じて個別に定める賃金体系を推進しようとしていた。
しかし、同国の4200万人超の労働力市場で拡大し続ける賃金格差の是正を公約していた社会民主党(SPD)との「大連立」協議が難航したため、昨年末メルケル氏が社民党に対する譲歩に踏み切った。
法案可決後、「決まったからには実施しなければならない」と述べたメルケル氏は、自らにとって「苦しい譲歩」だったこの最低賃金制について、国民の10人に9人が支持していると指摘した。
今回提示された最低賃金額は、他の先進諸国とほぼ足並みを揃えており、フランスの9.53ユーロ(約1300円)よりは若干低く、英国の6.31ポンド(約1100円)よりは上に設定されている。この額は2年ごとに見直されることになっている。 【翻訳編集】 AFPBB News