労働基準監督署への申告について
1.労働者は、労基法違反の事実を行政官庁または労働基準監督官に申告することができます(労働基準法104条1項)。そして、このような申告を行ったことを理由として不利益な取り扱いをすることが禁止されています(同条2項)。
2.残業代不払については、?36協定を結ばずに残業をさせ、割増賃金を支払わない場合や?36協定を結んでいても、限度時間以上に残業をさせ、割増賃金を支払わない場合などの場合に、長時間労働の是正や割増賃金の支払いをさせるために、労基法違反を理由として、所轄の労働基準監督署に申告することができます。申告については、労基法違反申告書の雛形を使用してください。
3.申告については、原則として、労働者が自分の名前で行うことが必要ですが、会社によっては、「犯人探し」が行われることがありますので、申告の際に担当の監督官とよく相談してください。場合によっては、「匿名」での申告にすることも考えられます。ただし、匿名申告の場合は、調査の着手にやや時間がかかることもあります。また、匿名申告でも誰が申告したかが会社に分かってしまうことが心配な場合、「情報提供」という方法もあります。「情報提供」は、労基法104条1項に基づく正式な申告ではありませんが、労働基準監督署としてもその内容によっては、調査・指導を行うことがあります。ただし、正式な申告と異なり、調査に踏み切るかどうか、そのタイミングをどうするか、についてはすべて労基署の判断に委ねられ、迅速な対応がなされない可能性もあります(情報提供用の書式を活用してください。)
4.書類や資料が揃っていなくても大丈夫です。例えば、就業規則、労働協約、36協定、タイムカードなどの資料が手元になくても申告ができます。その場合、労働時間が分かるようなどのような資料があるか、会社のどの部署にどのような書類があるのか、誰に聞けば分かるかなど情報を担当官に提供してください。
5.申告が受理されれば、労基署の担当者は調査に入ります。その結果については、正式な申告をした場合、申告者に教えてくれますし、情報提供の場合であっても問い合わせには対応してもらえます。
(注意点) 労基署に行ったら、単なる相談窓口に案内されてしまうことがありますので、必ず「労基法による正式な申告に来た」といってください。
厚生労働省: 全国労働基準監督署の所在案内